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アングル:豪富豪ラインハート氏、100億ドル自前鉱山開発で賭け
3月18日、オーストラリアの長者番付でトップに立つ鉄鉱石富豪、ジーナ・ラインハート氏が、同国内陸部のロイ・ヒル鉄鉱山の開発で、初めて自前での運営に乗り出している。ポートヘッドランドで2013年12月撮影(2015年 ロイター/David Gray )
[パース 18日 ロイター] - オーストラリアの長者番付でトップに立つ鉄鉱石富豪、ジーナ・ラインハート氏が、同国内陸部のロイ・ヒル鉄鉱山の開発で、初めて自前での運営に乗り出している。この先当分の間、これより大きな規模の鉄鉱山は世界で現れないだろう。
鉄鉱石の価格が下落し供給過剰が続く現在、鉱山開発には最悪のタイミングとされる。しかし、「生き残りをかけた戦いはさらに困難を増す」という、他の鉄鉱石業者へのメッセージは明確だ。
ロイ・ヒル鉱山は、丸紅<8002.T>、韓国鉄鋼最大手ポスコ<005490.KS>、台湾最大手の鉄鋼メーカー、中国鋼鉄<2002.TW>とのパートナーシップによる100億ドル(約1.2兆円)規模の鉄鉱山。4年前に建設を開始して以降、鉄鉱石価格は70%下落し、さらに下げ続けるとの見方もある。
各地で新たな鉱山計画は中止されており、今月には欧州の資源・コモディティ(商品)取引大手グレンコア
豪パースのモーガンズ・フィナンシャルのアナリスト、ジェームズ・ウィルソン氏は「『鉄鉱山を開発したい』と話す人がいたら、まともではない、もしくは他の人が得ていない情報を持っているのではないかと疑う」と述べた。
アナリストは生産の急拡大について、ブラジルの大手鉱山会社ヴァーレ
これらの企業と豪鉄鉱石生産大手フォーテスキュー・メタルズ
これらの企業は、鉄鉱石価格が損益分岐点まで下落することになっても、増産の手を緩めない戦略だ。
ラインハート氏のロイ・ヒル鉱山もこの流れに加わり、年間5500万トンの高品位鉄鉱石を生産する見通し。
<自前の鉱山>
ラインハート氏の推定資産額148億オーストラリアドル(約113億米ドル)は、1952年に鉄鉱床を発見した父ラング・ハンコック氏が交渉して手にしたロイヤルティーから成る。
内陸部の山岳地帯や鉄鉱石を運搬する鉄道ラインは「ハンコック」の名前を冠しているが、一族はこれまで自前の鉱山を運営したことはなかった。しかし今回、ラインハート氏自らがロイ・ヒル建設のため72億ドルの融資契約を主導し、昨年3月に契約を締結。今年9月までに最初の出荷の実現を目指す。
ロイ・ヒル鉄鉱山プロジェクトのバリー・フィッツジェラルド最高経営責任者(CEO)は「鉄鉱石価格に関して言えば、2年前の水準だったらよかったのにと思う。われわれにできることは現状に対応することだ」と指摘。「投資家と融資業者は、われわれがこのプロジェクトを進め、生産を開始し、可能な限り効率が高く効果的な方法で増産していくことを求めている」と述べた。
<困難な課題も>
ロイ・ヒルは海外のパートナー企業と組むことで差別化を図りたい考え。パートナー企業は同鉱山の権益30%を所有し、生産量の半分を購入する計画。
これにより、ロイ・ヒルは中国へのエクスポージャーを抑えることができる。中国の需要は世界の鉄鉱石市場の大半を支えるが、需要がピークに達したことを示す兆候もある。
ロイ・ヒルの鉄鉱石が高品位であることも、同鉱山の価値を高めるだろう。生産される鉄鉱石のうち約60%は塊(ランプ)として採掘され、加工の必要が少ないことから、その分指標価格<.IO62-CNI=SI>よりも1トン当たり10ドルのプレミアムがつく。
ただ、同プロジェクトにも困難な課題はある。アナリストによると、ロイ・ヒルではより深い地点で鉄鉱石を採掘することから、生産コストは競合大手を上回る可能性が高い。
パターソンズ証券のアナリスト、ロブ・ブリアリー氏は、「鉄鉱石価格のたどった道には皆驚かされた。ロイ・ヒルも同じだ」とし、「平静を装っているだけ」だと述べた。
競合業者にとっては、ロイ・ヒルの存在は単純に供給量の増加を意味する。米石炭・鉄鉱石大手のクリフス・ナチュラル・リソーシズ
(James Regan記者 翻訳:本田ももこ 編集:加藤京子)