長期金利が急激に上昇なら、機動的に国債買い入れ増額など実施=日銀総裁
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日銀の植田和男総裁は21日、衆院予算委員会で、長期金利が急激に上昇するという「例外的な状況」になれば、機動的に国債買い入れ増額などを実施すると述べた。写真は2023年9月、日銀本店で撮影(2024年 ロイター/Issei Kato)
Takahiko Wada
[東京 21日 ロイター] - 日銀の植田和男総裁は21日、衆院予算委員会で、長期金利が急激に上昇するという「例外的な状況」になれば、機動的に国債買い入れ増額などを実施すると述べた。ただ、機動的な対応の発動基準は明らかにせず、長期金利が安定的に形成されているか「注意深く市場の状況を見守ることによって判断していく」と説明するにとどめた。
階猛委員(立憲)が足元で上昇している長期金利について質問したことに対して答えた。
植田総裁は金利は「市場において形成されることが基本」と話し、「市場の経済・物価情勢に対する見方や海外金利などを映じて長期金利はある程度変動する」と述べた。長期金利が先行きどういう水準に収れんしていくかについては、コメントを控えるとした。
総裁は金利上昇の金融機関への影響について、貸し出しや債券の運用利回りが上昇する一方で調達金利が上がり、価格の下落が保有債券の評価損を発生させる面もあるが「長い目で見れば、金利上昇は全体として金融機関収益を改善させる効果がある」と説明。金融システムは安定性を維持しているとした。
金融機関の貸し出し態度、企業の資金繰りに関するデータや調査でも良好な状況が継続しており、「引き続き緩和的な金融環境が維持され、経済活動をサポートしている」と語った。
植田総裁は、昨年3月まで行っていたイールドカーブ・コントロール(YCC)を含む大規模な金融緩和は「2%物価目標を実現するプロセスの中で必要なものだった」とも話した。ただ「さまざまな面で副作用を発生させたことも認識している」とした。