ニュース速報
ビジネス

インタビュー:野田立民代表「金融政策は早く正常化を」、円安は消費者にマイナス

2024年12月06日(金)18時35分

 12月6日、立憲民主党の野田佳彦代表(写真)はロイターのインタビューに応じ、日銀の金融政策運営について「早く正常化に向かっていかなければならない」と述べ、段階的な利上げに理解を示した。写真は同日、都内で撮影(2024年 ロイター/Issei Kato)

Takahiko Wada Leika Kihara

[東京 6日 ロイター] - 立憲民主党の野田佳彦代表は6日、ロイターのインタビューに応じ、日銀の金融政策運営について「早く正常化に向かっていかなければならない」と述べ、段階的な利上げに理解を示した。異次元緩和の副作用で「過度な円安になった」とし、円安は消費者にとってマイナスだと語った。一方で、「必要な時に財政出動ができなくなる」として財政健全化の必要性を強調。財源確保の手段として金融所得課税から強化していくことは「十分可能」と述べた。

立憲民主党は10月の衆院選で日銀の金融政策運営について、物価目標を「0%超」に変更し、政府・日銀の共同目標として「実質賃金の上昇」を掲げていくことを公約に盛り込んだ。野田代表は「今までは2%目標にこだわり過ぎた」と指摘、物価0%超というのは日銀の独立性を尊重し、専門性を生かす趣旨だと説明した。その上で「物価を0%に抑えようとしているのではない」と述べた。2013年1月に策定された政府と日銀の共同声明は経済・物価の「実態に合っていない」とも話した。

野田代表は日銀が13年4月から始めた異次元緩和が「長過ぎた」と指摘。日銀は3月に異次元緩和を終了したが、物価高が継続しているにもかかわらず、緩和的な金融環境が続いているとして早期脱却を求めた。

円安の評価について「黒田東彦総裁は辞める直前まで円安は(日本経済に)プラスだと強調していたが、あのころからマイナスだった」と指摘した。普通の金融政策への移行を進める現在の植田和男総裁の下での政策運営はおおむね評価するとした。

<財政健全化の必要性を強調>

立民は衆院選で議席を大幅に伸ばし、政権交代の実現を目指している。財務相、首相の経験者でもある野田代表は、インタビューで財政健全化の必要性を強調した。

政府の24年度補正予算案が13.9兆円なのに対して、立民の対策規模は7.4兆円だが「財源を意識した編成にしている」とし、「野放図な、規律のない財政運営をするつもりはない」と述べた。財源確保策としては、経済界の一部で理解が広がっている金融所得課税の強化から着手すべきと提起した。消費税については「過重に大きな負担になっている」と話し、消費税率には当面踏み込まず、歳出改革や他の税目で対応できないかの検討が必要だと述べた。

野田代表は「『経済あっての財政』と言う人が多いが、財政に対する信認を失ったときは経済も大変なことになる」と話し、財政健全化への議論が少な過ぎると懸念を示した。財政健全化が進まなければ、英国で2022年に起きた「トラス・ショック」のような市場混乱が日本でも起こり得ると警戒感を示した。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

「ガザ所有」のトランプ発言、国際社会が反発 中東の

ビジネス

EU、Temu・SHEINに販売責任 安価で危険な

ビジネス

独プラント・設備受注、昨年8%減 2年連続のマイナ

ビジネス

日産、ホンダとの統合協議を白紙に 取締役会が方針確
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:中国経済ピークアウト
特集:中国経済ピークアウト
2025年2月11日号(2/ 4発売)

AIやEVは輝き、バブル崩壊と需要減が影を落とす。中国「14億経済」の現在地と未来図を読む

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「体が1日中だるい...」原因は食事にあり? エネルギー不足を補う「ある食品」で賢い選択を
  • 2
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」を予防するだけじゃない!?「リンゴ酢」のすごい健康効果
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    教職不人気で加速する「教員の学力低下」の深刻度
  • 5
    マイクロプラスチックが「脳の血流」を長期間にわた…
  • 6
    中国AI企業ディープシーク、米オープンAIのデータ『…
  • 7
    脳のパフォーマンスが「最高状態」になる室温とは?…
  • 8
    「靴下を履いて寝る」が実は正しい? 健康で快適な睡…
  • 9
    AIやEVが輝く一方で、バブルや不況の影が広がる.....…
  • 10
    DeepSeekが「本当に大事件」である3つの理由...中国…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」を予防するだけじゃない!?「リンゴ酢」のすごい健康効果
  • 4
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 5
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 6
    「靴下を履いて寝る」が実は正しい? 健康で快適な睡…
  • 7
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 8
    老化を防ぐ「食事パターン」とは?...長寿の腸内細菌…
  • 9
    「体が1日中だるい...」原因は食事にあり? エネルギ…
  • 10
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 5
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 9
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 10
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中