OECD、25年の英成長率予想引き上げ インフレ率上昇も警告
OECD(経済協力開発機構)は4日に公表した最新の世界経済見通しで、来年の英経済成長率予想を上方修正した。ロンドンの高層ビル街で7月撮影。(2024年 ロイター/Hollie Adams/File Photo)
Andy Bruce
[4日 ロイター] - OECD(経済協力開発機構)は4日に公表した最新の世界経済見通しで、来年の英経済成長率予想を上方修正した。政府支出の急拡大を理由に挙げた。ただ、インフレ率も押し上げられ、主要7カ国(G7)で最高水準になる可能性があるとの見方も示した。
OECDは今年の経済成長率予測しを従来の1.1%から0.9%に引き下げる一方で、25年の見通しを前回の1.2%から1.7%に引き上げた。
新型コロナのパンデミック(世界的流行)時の急激な変動を除けば、17年以来の高成長となる。OECDは来年英国よりも速い成長が見込まれるのはカナダと米国のみと予測している。
リーブス財務相は、OECDの予測に基づくと、英国は今後3年で欧州のG7メンバーで最も高い成長が見込まれると指摘した。
しかし、OECDは26年には成長率が1.3%まで鈍化し、景気回復は一時的なものになる可能性があると警告している。
財政緩和の前倒しにより、政府支出と投資が25年の成長を押し上げるが、その後は増税が個人消費の重荷となり、政府の追加借り入れが企業投資を圧迫するとの見方を示した。
また25年のインフレ率が平均2.7%となり、G7諸国の中で最も高水準になると予想した。
他国と比べて賃金の伸びが堅調なことやサービス価格が上昇していることを理由に、「国内の物価圧力は依然として残っている」と分析した。家賃は10月までの1年間で、OECD加盟国で最も大幅な伸びを記録した。
OECDは公的財政が逼迫していることから、英国が将来的に経済に起こり得るショックに対処する能力は限られていると警告した。世界的なエネルギー価格の上昇や、政府支出の大幅な増加を背景とした持続的な価格上昇圧力により、金融政策をより長期間引き締めざるを得なくなる可能性が含まれるとした。