米アップル、従業員の個人情報を違法に監視か 社員が提訴
米アップルが従業員の個人的なデバイスや同社のストレージサービス「iCloud(アイクラウド)」のアカウントにある個人情報を違法に監視したり、給与や労働条件について話すことを禁じたりしているとして、同社でデジタル広告を担当するアマール・バクタ氏が12月1日、米西部カリフォルニア州の地裁に提訴した。2018年8月、ニューヨークのアップルストアで撮影(2024年 ロイター/Lucas Jackson)
Daniel Wiessner
[2日 ロイター] - 米アップルが従業員の個人的なデバイスや同社のストレージサービス「iCloud(アイクラウド)」のアカウントにある個人情報を違法に監視したり、給与や労働条件について話すことを禁じたりしているとして、同社でデジタル広告を担当するアマール・バクタ氏が1日、米西部カリフォルニア州の地裁に提訴した。
訴状によると、アップルは従業員が業務に使う個人用デバイスにソフトウェアをインストールし、会社側が従業員の電子メールや画像ライブラリ、健康状態、IoT家電をつないだ「スマートホーム」のデータなどの個人情報にアクセスできるようにするよう求めている。また、アップルが従業員に対して労働条件について報道機関を含めた相手に話したり、法的に保護される内部告発を禁止したりする守秘義務を課しているとしている。
アップルに2020年から勤務してきたバクタ氏は、ポッドキャストで自分の仕事について話すことを禁じられ、ビジネス向け交流サイト(SNS)「リンクトイン」のプロフィールから労働条件に関する情報を削除するよう指示されたとして「アップルの監視ポリシーと慣行は従業員の内部告発、競争、労働市場での従業員の移動の自由、言論の自由を冷遇し、結果として違法に制限している」と主張した。
アップルの広報担当者は声明で、起こされた訴訟の主張にはメリットがなく、同社従業員は労働条件について協議する権利の教育を毎年受けているとした上で「アップルは世界最高の製品とサービスを生み出すことに力を注いでおり、私たちのチームが顧客のために生み出した発明を保護するように努めている」とした。
今回の訴訟はカリフォルニア州独自の法律に基づいて起こされた。これは労働者が州を代表して雇用主を訴え、回収した罰金の35%を保有できる。
アップルを巡っては、SNSやビジネス対話アプリ「スラック」の使用を制限するなどして従業員同士や報道機関に対して性差別や賃金差別などの問題について議論することを違法に禁じたとして、米国の労働関係法の施行機関である全米労働関係委員会(NLRB)米労働委員会が少なくとも3件告発している。アップルは不正行為を否定している。