ニュース速報
ビジネス

ECB当局者、インフレの目標下振れに懸念強める 景気低迷受け

2024年10月23日(水)10時07分

 10月22日、欧州中央銀行(ECB)当局者は、インフレ率が目標の2%を下回るリスクを相次いで警告し、物価抑制から焦点がシフトしていることを示唆した。写真はECBのラガルド総裁。9月、独フランクフルトで撮影(2024年 ロイター/Jana Rodenbusch)

Balazs Koranyi

[ワシントン 22日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)当局者は22日、インフレ率が目標の2%を下回るリスクを相次いで警告し、物価抑制から焦点がシフトしていることを示唆した。

ECB理事会メンバーであるフランス、ポルトガル、フィンランドの中銀総裁は、ECBが比較的高い金利で依然として景気を抑制している一方、経済は非常に弱いため、物価に過度の足かせとなっている可能性があると指摘した。

ビルロワドガロー仏中銀総裁はニューヨーク大学での講演で、経済成長の低迷が続けばインフレ率がECBの目標を下回る可能性があるとし、そうなればECBは利下げで後手に回るリスクに直面するとの見方を示した。

高金利を過度に長期間維持するリスクを以前から警告してきたポルトガル中銀のセンテノ総裁はワシントンで開かれたイベントで、インフレ率が目標を下回るリスクの方が、その逆よりも大きいとの見方を示し、「われわれの予測に現時点で見られる下振れリスクの多くは内生的だ」と述べた。

フィンランド中銀のレーン総裁も足元の成長見通しは非常に弱いとし、ECBはインフレ下振れリスクを考慮する必要があると指摘。「成長見通しは過去数カ月で明らかに弱まっており、ディスインフレ(インフレ鈍化)圧力も高まる可能性がある」と述べた。

一方、ECBのラガルド総裁はブルームバーグ主催のイベントで、ユーロ圏のインフレ率は「2025年中に持続可能な形で目標に達すると確信している」と述べた。

ECBは最新の経済予測で25年第4・四半期にインフレ目標が達成されるとの見方を示しているが、これよりも早く達成される可能性はあるかとの質問に対し、「それを望んでいる」と答えた。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

午前の日経平均は続落、方向感乏しい 円安効果は限定

ワールド

英独が新たな防衛協力に合意 ウクライナ戦争踏まえN

ワールド

中国工業情報相、アップルCEOと会談 投資拡大など

ワールド

東証社員への調査は大変遺憾、市場の信用確保に尽力を
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:米大統領選 イスラエルリスク
特集:米大統領選 イスラエルリスク
2024年10月29日号(10/22発売)

イスラエル支持でカマラ・ハリスが失う「イスラム教徒票」が大統領選の勝負を分ける

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶりに大接近、肉眼でも観測可能
  • 2
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」ものはどれ?
  • 3
    リアリストが日本被団協のノーベル平和賞受賞に思うこと
  • 4
    逃げ場はゼロ...ロシア軍の演習場を襲うウクライナ「…
  • 5
    大破した車の写真も...FPVドローンから逃げるロシア…
  • 6
    トルコの古代遺跡に「ペルセウス座流星群」が降り注ぐ
  • 7
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の…
  • 8
    中国経済が失速しても世界経済の底は抜けない
  • 9
    ウクライナ兵捕虜を処刑し始めたロシア軍。怖がらせ…
  • 10
    「ハリスがバイデンにクーデター」「ライオンのトレ…
  • 1
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の北朝鮮兵による「ブリヤート特別大隊」を待つ激戦地
  • 2
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶりに大接近、肉眼でも観測可能
  • 3
    大破した車の写真も...FPVドローンから逃げるロシア兵の正面に「竜の歯」 夜間に何者かが設置か(クルスク州)
  • 4
    韓国著作権団体、ノーベル賞受賞の韓江に教科書掲載料…
  • 5
    目撃された真っ白な「謎のキツネ」? 専門家も驚くそ…
  • 6
    ウクライナ兵捕虜を処刑し始めたロシア軍。怖がらせ…
  • 7
    逃げ場はゼロ...ロシア軍の演習場を襲うウクライナ「…
  • 8
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 9
    裁判沙汰になった300年前の沈没船、残骸発見→最新調…
  • 10
    北朝鮮を訪問したプーチン、金正恩の隣で「ものすご…
  • 1
    ベッツが語る大谷翔平の素顔「ショウは普通の男」「自由がないのは気の毒」「野球は超人的」
  • 2
    「地球が作り得る最大のハリケーン」が間もなくフロリダ上陸、「避難しなければ死ぬ」レベル
  • 3
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の北朝鮮兵による「ブリヤート特別大隊」を待つ激戦地
  • 4
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶり…
  • 5
    大破した車の写真も...FPVドローンから逃げるロシア…
  • 6
    ウクライナに供与したF16がまた墜落?活躍する姿はど…
  • 7
    漫画、アニメの「次」のコンテンツは中国もうらやむ…
  • 8
    エジプト「叫ぶ女性ミイラ」の謎解明...最新技術が明…
  • 9
    ウクライナ軍、ドローンに続く「新兵器」と期待する…
  • 10
    韓国著作権団体、ノーベル賞受賞の韓江に教科書掲載料…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中