ニュース速報
ビジネス

午後3時のドルは小幅高142円半ば、過度な米利下げ観測剥落での買い戻し一巡

2024年09月19日(木)15時35分

 9月19日、午後3時のドルは、前日のニューヨーク市場終盤(142.27/29円)から小幅高の142円半ばで取引されている。写真は米ドル紙幣。2022年7月撮影(2024年 ロイター/Dado Ruvic)

Mariko Sakaguchi

[東京 19日 ロイター] -

午後3時のドルは、前日のニューヨーク市場終盤(142.27/29円)から小幅高の142円半ばで取引されている。過度な米利下げ観測の剥落を背景としたドルの買い戻しが一巡し、あすの日銀金融政策決定会合を控えて持ち高調整の動きが強まった。

ドルは早朝に141.89円付近まで下落した後は、じりじりと上昇。時間外の米長期金利の小幅な上昇や日経平均株価が一時1000円超の上昇となるなどを受け、ドル買い/円売りが強まった。

仲値公示に向けては国内輸入企業による買いが一部入ったものの、「海外勢による買い戻しの動きが活発化している」(国内銀の為替セールス担当)とし、米連邦公開市場委員会(FOMC)を受けて過剰な景気後退懸念や利下げ期待が後退したことから、ポジションを巻き戻す動きがでているという。

ドルは一時143.95円付近と9月6日以来約2週間ぶりの高値を付けた後は、上昇が一服。144円付近では国内輸出企業などによる売りが出やすく上値の重さが意識された。その後も一旦利益を確定する動きに押され、ドルは142円半ばまで上げ幅を縮小した。

SBIリクイディティ・マーケットの金融市場調査部長、上田真理人氏は米FOMCで、米連邦準備理事会(FRB)は50ベーシスポイント(bp)の大幅な利下げに踏み切ったものの、パウエルFRB議長の記者会見での発言内容を踏まえると、「バランスの取れた内容で市場に安心感を与えた」との見方を示す。

ドルはここ数日、140円前半で下げ渋るなど下値の堅さが確認できたことに加えて、米FOMCを受けたポジション調整の動きで、きょうはドルの買い戻しが強まったものの、「長期的にはドル安/円高方向に向きやすい」と、みずほ銀行の個人商品業務部マーケットライン長、鈴木健吾氏はみる。

鈴木氏によると、テクニカル的には20日移動平均線の143.50円付近と一目均衡表の基準線の144.50円付近の間では上値の重さが意識されやすい一方、139.90-140.40円付近の下値は固いという。

また、利下げという米国の方向性に変わりないほか、米大統領選挙を控える中、政治リスクの高まりも意識されやすいとみられ「ドルを積極的に買う動きは乏しい」(前出の国内銀の為替セールス担当)との声が出ている。

一方、「米金利の上昇に伴いドルが上昇する可能性がある」と、オーストラリア・ニュージーランド銀行の外国為替・コモディティ営業部ディレクター、町田広之氏は指摘する。米FOMCのドットチャートの中央値は年内2回の利下げが示されているものの、平均値でみれば年内1.5回程度。今後の米経済指標が底堅い内容となれば、利下げの織り込みが一段と剥落し、米イールドカーブが修正され、それに伴いドルは145ー147円付近まで調整が入ってもおかしくないという。

ドル/円 ユーロ/ドル ユーロ/円

午後3時現在 142.57/142.58 1.1128/1.1130 158.71/158.72

午前9時現在 142.70/142.71 1.1113/1.1114 158.60/158.62

NY午後5時 142.27/142.31 1.1118/1.1119 158.18/158.24

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ヒズボラ指導者、通信機器爆発は「宣戦布告」 イスラ

ワールド

南ア中銀、0.25%利下げ FRBに続き緩和路線

ビジネス

米中古住宅販売、8月は2.5%減の386万戸 価格

ワールド

ハリス氏とトランプ氏、全国で支持率拮抗 激戦東部州
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ニュースが分かる ユダヤ超入門
特集:ニュースが分かる ユダヤ超入門
2024年9月17日/2024年9月24日号(9/10発売)

ユダヤ人とは何なのか? なぜ世界に離散したのか? 優秀な人材を輩出した理由は? ユダヤを知れば世界が分かる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    クローン病と潰瘍性大腸炎...手ごわい炎症性腸疾患に高まる【新たな治療法】の期待
  • 2
    世界で最も華麗で高額な新高層ビルに差す影
  • 3
    岸田政権「円高容認」の過ち...日本経済の成長率を高められる次期首相は高市氏だ
  • 4
    「ポケットの中の爆弾」が一斉に大量爆発、イスラエ…
  • 5
    米大統領選を左右するかもしれない「ハリスの大笑い」
  • 6
    北朝鮮、泣き叫ぶ女子高生の悲嘆...残酷すぎる「緩慢…
  • 7
    「気持ち悪い」「正直言って変...」サブリナ・カーペ…
  • 8
    地震の恩恵? 「地震が金塊を作っているかもしれない…
  • 9
    浮橋に集ったロシア兵「多数を一蹴」の瞬間...HIMARS…
  • 10
    「トランプ暗殺未遂」容疑者ラウスとクルックス、殺…
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    北朝鮮、泣き叫ぶ女子高生の悲嘆...残酷すぎる「緩慢な処刑」、少女が生き延びるのは極めて難しい
  • 3
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは...」と飼い主...住宅から巨大ニシキヘビ押収 驚愕のその姿とは?
  • 4
    キャサリン妃とメーガン妃の「ケープ」対決...最も優…
  • 5
    クローン病と潰瘍性大腸炎...手ごわい炎症性腸疾患に…
  • 6
    【クイズ】自殺率が最も高い国は?
  • 7
    北朝鮮で10代少女が逮捕、見せしめに...視聴した「禁…
  • 8
    ロシア空軍が誇るSu-30M戦闘機、黒海上空でウクライ…
  • 9
    エリザベス女王とフィリップ殿下の銅像が完成...「誰…
  • 10
    ウィリアムとヘンリーの間に「信頼はない」...近い将…
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンションは、10年後どうなった?「海外不動産」投資のリアル事情
  • 3
    年収分布で分かる「自分の年収は高いのか、低いのか」
  • 4
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレ…
  • 5
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン…
  • 6
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは.…
  • 7
    「あの頃の思い出が詰まっている...」懐かしのマクド…
  • 8
    止まらない爆発、巨大な煙...ウクライナの「すさまじ…
  • 9
    「棺桶みたい...」客室乗務員がフライト中に眠る「秘…
  • 10
    ロシア国内クルスク州でウクライナ軍がHIMARS爆撃...…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中