仏株価下落、国債リスクプレミアム上昇 下院選受け議会空転に懸念
7日投開票されたフランス国民議会(下院、577議席)総選挙の決選投票で、予想に反して左派連合が極右を抑えて最大勢力になる見通しとなったことを受けてユーロが下落した。写真は2022年5月撮影(2024年 ロイター/Dado Ruvic)
Harry Robertson Dhara Ranasinghe
[ロンドン 8日 ロイター] - 7日投開票されたフランス国民議会(下院、577議席)総選挙の決選投票の結果を受けて、仏国債に対するリスクプレミアムが上昇し、ユーロは下落した。
予想に反して左派連合が極右を抑えて最大勢力となったため、ハングパーラメント(宙づり議会)に陥り不透明感が強まる見込みとなったことが背景。
仏株式市場のCAC40指数は0.6%下落している。
銀行株の下げが目立ち、ソシエテ・ジェネラルとBNPパリバはそれぞれ約1%下落した。STOXX銀行株指数は0.4%安。
仏10年債利回りは3bp上昇して3.24%となった。ドイツとフランスの10年物国債利回り格差は2ベーシスポイント(bp)拡大し70bpとなった。
ユーロはドルで約0.1%下落し、1ユーロ=1.0822ドル。対ポンドでも約0.1%値下がりし、1ユーロ=84.53ペンスとなった。
極右政党「国民連合(RN)」が第3勢力にとどまるとの見通しは市場関係者に安心感を与えるかもしれないが、左派の公約はマクロン大統領の市場寄りの改革の多くを後退させる可能性がある。また、政治的な行き詰まりが2023年に国内総生産(GDP)の110.6%に達した公的債務抑制の取り組みに水を差す恐れもある。
ウィズダムツリーのマクロ経済調査部門ディレクター、アニーカ・グプタ氏は「各党の票が割れて絶対過半数を持つ政党がないため、政策を可決し進歩的な改革を実現するのは非常に難しいだろう」との見方を示した。
「極右が支配する極端な状況が回避されたことを市場は喜ぶだろう」とも述べた。
マネックス・ヨーロッパ為替分析部門のトップ、サイモン・ハーベイ氏は「反極右の政党が多くの支持を集めたようだ。ただファンダメンタルズ的には結果に違いはない。立法の面で空白が生じるだろう」と述べた。その上で注目は債券市場とし、価格が下落する可能性を指摘した。