ニュース速報
ビジネス

ECB、ディスインフレ失速を懸念 一部当局者利下げに不安=議事要旨

2024年07月05日(金)00時01分

欧州中央銀行(ECB)が4日公表した6月5─6日の理事会の議事要旨で、政策当局者はインフレは継続的に低下していくとおおむね確信していたものの、一連のネガティブなサプライズを踏まえ、利下げに不安を感じた当局者もいたことが分かった。6月撮影(2024年 ロイター/Wolfgang Rattay)

[フランクフルト 4日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)が4日公表した6月5─6日の理事会の議事要旨で、政策当局者はインフレは継続的に低下していくとおおむね確信していたものの、一連のネガティブなサプライズを踏まえ、利下げに不安を感じた当局者もいたことが分かった。

ECBは同理事会で主要政策金利の0.25%ポイント引き下げを決定。2019年9月以来、4年9カ月ぶりに利下げを実施した。ただ、インフレ率が目標に向かって低下していくと一段の確信が持てるまで、追加利下げの時期は確定できないと示唆した。

議事要旨によると「一部メンバーは、前回理事会以降に入手されたデータでインフレ率が2025年までに目標とする2%に収束するという確信は高まっていないと感じていた」とし、このことは「利下げがデータ依存の原則に完全には沿っていないことを示唆しており、今回の会合では金利を据え置くべき理由がある」と指摘した。

最終的にはホルツマン・オーストリア中銀総裁を除く全員が利下げに賛成。ただ、一部当局者は賃金の伸びが予想以上に上振れし、インフレが予想以上に根強いため、リスクはインフレ率が予想よりも高くなる方向に傾いていると主張。「今後、粘着性が増すことが示されており、賃金が遅行指標であることを踏まえても、当面は物価圧力が押し上げられる可能性がある」とした。

一部メンバーは「インフレ率を目標に戻すのがこれ以上遅れれば、将来的にインフレ期待を安定させ続けることが一段と困難になる可能性がある」とし、「こうしたこと全ては、ディスインフレの最終段階が最も困難であることを示唆している」とした。

同時に「大部分のメンバー」がインフレ率は25年末までに2%に低下する軌道に乗っているとの確信を維持、もしくは一段と強めたと表明した。

ECB当局者はここ数週間、サービスコストが高止まりしていること踏まえ、7月18日の理事会で政策変更はないと示唆。ただ、9月の理事会で追加利下げが決定される可能性はある。市場が現在見込む年内のECBの利下げ幅は約0.43%ポイント。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、保守系政策集との関係否定 主張抑制狙い

ワールド

サウジ皇太子、イラン次期大統領に祝意 関係発展に意

ワールド

バイデン氏に投票予定の民主党支持者、86%に減少=

ビジネス

中国外貨準備高、6月は3兆2220億ドルに減少
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:中国EVの実力
特集:中国EVの実力
2024年7月 9日号(7/ 2発売)

欧米の包囲網と販売減速に直面した「進撃の中華EV」のリアルな現在地

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ルイ王子の「お行儀の悪さ」の原因は「砂糖」だった...アン王女の娘婿が語る
  • 2
    ドネツク州でロシア戦闘車列への大規模攻撃...対戦車砲とドローンの「精密爆撃」で次々に「撃破」する瞬間
  • 3
    韓国が「佐渡の金山」の世界遺産登録に騒がない訳
  • 4
    携帯契約での「読み取り義務化」は、マイナンバーカ…
  • 5
    「下手な女優」役でナタリー・ポートマンに勝てる者…
  • 6
    中国を捨てる富裕層が世界一で過去最多、3位はインド…
  • 7
    洗わず放置した「水筒」が大変なことに...内部に「生…
  • 8
    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…
  • 9
    『ザ・ボーイズ』がくれた「イケメン俳優」像を笑い…
  • 10
    「黒焦げにした」ロシアの軍用車10数両をウクライナ…
  • 1
    韓国が「佐渡の金山」の世界遺産登録に騒がない訳
  • 2
    メーガン妃が「王妃」として描かれる...波紋を呼ぶ「帰ってきた白の王妃」とは?
  • 3
    中国を捨てる富裕層が世界一で過去最多、3位はインド、意外な2位は?
  • 4
    携帯契約での「読み取り義務化」は、マイナンバーカ…
  • 5
    ウクライナ戦闘機、ロシア防空システムを「無効化」.…
  • 6
    黒海艦隊撃破の拠点になったズミイヌイ島(スネーク…
  • 7
    H3ロケット3号機打ち上げ成功、「だいち4号」にかか…
  • 8
    キャサリン妃も着用したティアラをソフィー妃も...「…
  • 9
    ルイ王子の「お行儀の悪さ」の原因は「砂糖」だった.…
  • 10
    能登半島地震から半年、メディアが伝えない被災者た…
  • 1
    中国を捨てる富裕層が世界一で過去最多、3位はインド、意外な2位は?
  • 2
    韓国が「佐渡の金山」の世界遺産登録に騒がない訳
  • 3
    ニシキヘビの体内に行方不明の女性...「腹を切開するシーン」が公開される インドネシア
  • 4
    接近戦で「蜂の巣状態」に...ブラッドレー歩兵戦闘車…
  • 5
    メーガン妃が「王妃」として描かれる...波紋を呼ぶ「…
  • 6
    新型コロナ変異株「フラート」が感染拡大中...今夏は…
  • 7
    早期定年を迎える自衛官「まだまだやれると思ってい…
  • 8
    爆破され「瓦礫」と化したロシア国内のドローン基地.…
  • 9
    携帯契約での「読み取り義務化」は、マイナンバーカ…
  • 10
    「何様のつもり?」 ウクライナ選手の握手拒否にロシ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中