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情報BOX:米大統領選の注目銘柄、結果が左右「勝ち組・負け組」

2024年07月04日(木)18時28分

11月に投票を控える2人の候補の支持率に今はそれほど差がなく、両氏とも経済運営に関する手腕をアピールしている。米国株はさまざまな銘柄が選挙の影響を受けそうだ。写真は討論会に臨むバイデン氏(左)とトランプ氏。アトランタで27日撮影(2024年 ロイター/Brian Snyder)

[3日 ロイター] - 民主党候補のバイデン大統領のぎこちなさが注目された米大統領選の第1回討論会は、共和党候補のトランプ前大統領との間でウクライナやパレスチナ自治区の戦争、中絶、移民、さらにはゴルフの腕前に至るまで論戦を繰り広げた。

11月に投票を控える2人の支持率に今はそれほど差がなく、両氏とも経済運営に関する手腕をアピールしている。米国株はさまざまな銘柄が選挙の影響を受けそうだ。

どちらの候補が勝つかで具体的に各セクターでどのような影響が出てくるか、以下にまとめた。

◎金融株

金融大手のUBSは、トランプ氏が大統領に返り咲いた場合、金融規制が緩和され、銀行の資本・流動性ルールは厳格さが弱まると想定。JPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカ、ウェルズ・ファーゴといった大手行だけでなく、ディスカバー・ファイナンシャルやキーコープなどより規模の小さい金融機関も恩恵を受けるとみている。

◎太陽光発電

JPモルガンは、トランプ氏や他の共和党有力者が「グリーン革命」に反対している点から、2022年のインフレ抑制法に盛り込まれた税制優遇措置に後押しされた再生エネルギーなどクリーンエネルギーへの投資が脅かされるとみている

UBSは、バイデン氏が再選を果たせば、ファースト・ソーラー、ネクストエラ・エナジー、サンランなどの太陽光発電事業者向けのインセンティブは継続されると予想する。

◎クリーンエネルギーと石油企業

バイデン政権の下で電動化や環境負荷のないグリーン水素、ブルー水素への支援が続けば、イートン、クアンタ・サービシズ、テスラ、エア・プロダクツ・アンド・ケミカルズなどの銘柄に追い風が吹いてもおかしくない、というのがUBSの見方だ。

省エネ機器を手掛けるジョンソン・コントロールズ、トレーン・テクノロジーズや、廃棄物処理のウエイスト・マネジメントなども引き続き有利な立場を享受できる。

しかし、トランプ政権なら石油・天然ガス投資や掘削活動の拡大、天然ガス輸出増加などによりエクソンモービル、シェニエール・エナジー、コノコフィリップスなどが「勝ち組」になる。

◎関税

UBSのアナリストチームによると、トランプ氏の下では輸入関税の面で保護主義色が格段に強まり、一般消費財セクターがその影響を受けそうだ。

1期目に中国との関税戦争を始めたトランプ氏は、全ての中国製品に60%ないしそれ以上の関税を適用し、それ以外の地域からの輸入品への関税率も最低10%にすると提案。同氏は、これで米国の貿易赤字を解消すると息巻いている。

中国からの輸入品に対する高率の関税適用は、自動車大手のゼネラル・モーターズやフォード・モーター、鉄鋼のニューコアやスティール・ダイナミクスなど米国のメーカーにとって追い風になる、とUBSのアナリストチームは分析する。

◎トランプ銘柄

トランプ氏の当選確率と連動して推移しそうなのは、同氏が過半数株を持つトランプ・メディア・アンド・テクノロジーや、ソフトウエアのファンウェア、動画共有プラットフォームのランブルなどだ。

◎刑務所運営

不法移民取り締まりと移民受け入れ制限を公約に掲げるトランプ氏が当選すれば、刑務所を運営するジオ・グループやコアシビックなどが恩恵を受ける可能性がある。

◎製薬・医療保険

UBSの想定では、大統領選・議会選を通じて共和党が圧倒的に優勢となれば、薬価引き下げとメディケア・アドバンテージ重視のリスクが低下し、イーライリリーやメルクなどの製薬企業、またヒューマナやユナイテッドヘルスといった医療保険企業にプラスに働く。

◎M&A

トランプ政権が誕生すれば、反トラスト法(独占禁止法)の運用は緩くなる公算が大きい、とJPモルガンのアナリストチームは予想する。

UBSは、M&A(合併・買収)が活発化してゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレー、ラザード、エバーコアなどの投資銀行が果実を得るとみている。

◎半導体

トランプ氏が返り咲きを果たした場合、半導体分野で中国との競争が激化している状況を踏まえ、アプライド・マテリアルズ、KLA、インテル、テキサス・インスツルメンツなど国内メーカーの支援に動く、とUBSは想定している。

◎農業

トランプ氏が中国からの輸入品に高額の関税を適用すると、貿易戦争のあおりを受けて米国の農産物輸出が減少する可能性がある。連邦政府が農家への支援を強化してもおかしくない。UBSのアナリストチームによると、そうした取り組みが農機メーカーのディアやトラクター・サプライ・カンパニーの追い風になり得る。

ロイター
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