ユーロ圏住宅ローン市場は「管理可能」、ECBが点検結果公表
欧州中央銀行(ECB)は15日、ユーロ圏の住宅ローン市場の点検結果を公表し、金利上昇による借り手の負担増大などの問題はあるものの、全体として「管理は可能」だとの見解を示した。仏パリで2020年12月撮影(2024年 ロイター/Charles Platiau)
Francesco Canepa
[フランクフルト 15日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は15日、ユーロ圏の住宅ローン市場の点検結果を公表し、金利上昇による借り手の負担増大などの問題はあるものの、全体として「管理は可能」だとの見解を示した。
ECBがインフレ抑制のため政策金利を過去最高水準まで引き上げたため、特に低金利局面で活況となったドイツなどの住宅価格が圧迫されている。また昨年6月時点で1兆4000億ユーロだった住宅ローン残高のうち、4120億ユーロ分は来年6月までに適用金利が大きく跳ね上がる公算が大きく「これは高金利に対応できない借り手にとって重大なリスクをもたらす」と指摘されている。
今回の点検では、貸し手の金融機関側がローン承認前にリスクを十分に検討していない実態も明らかになった。
例えば一部の国の銀行は、対象物件の評価額との見合いや、借り手の収入と返済額の比率に基づく融資限度を設けていなかったり、超過を前提に限度を運用したりしていた。
昨年6月までの1年間に組成されたローンの46.5%は融資額が物件評価額の80%を上回り、16.5%は評価額以上の融資額だったという。
21年6月から昨年6月の間では、実行されたローンのうち、借り手の返済額が収入の3割を超える割合も47%から53%近くに上昇している。
それでもECBは「全体の見通しは依然として明るい。居住用不動産はある程度の緊張にさらされているが、これは管理可能で、銀行は不安解消に向けて積極的に取り組んでいる」と指摘した。