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アングル:米高配当株に再び注目、利上げ終盤で国債利回り低下観測

7月25日、 米株式市場で一部の投資家が高配当株に再び関心を寄せている。写真はワシントンのFRB本部。17日撮影(2023年 ロイター/Win McNamee)
[ニューヨーク 25日 ロイター] - 米株式市場で一部の投資家が高配当株に再び関心を寄せている。米連邦準備理事会(FRB)の利上げ局面が近く終了し、債券利回りが低下に転じるとの見方が背景だ。
米短期国債利回りは、FRBの積極的な利上げを受けて5%を突破し、2007年以来の高水準を記録。これを受けて高配当株の魅力は低下していたが、利上げ終了で国債利回りが低下すれば、高配当株の投資妙味が増すとの見方が浮上している。
フィデリティ・インベストメンツのグローバルマクロ担当ディレクター、ジュリアン・ティマー氏は「国債から5%の利回りが得られるのは一時的とみられる」とし「高配当のバリュー株は、高利回りを維持する上でかなり魅力的な投資先だ」と述べた。
リッパーのデータによると、過去25年間毎年増配している企業の株価に連動する上場投資信託(ETF)「プロシェアーズS&P500配当アリストクラッツETF」には今月19日までの2週間で3300万ドルが純流入。2週間ベースで1月以来最大の流入超を記録した。
同ETFの年初来上昇率は約7.5%。S&P総合500種指数の上昇率は19%近くに達している。
一方、BoFAグローバル・リサーチのグローバル・ファンドマネジャー調査によると、高配当銘柄が低配当銘柄をアウトパフォームすると予想した回答者は全体の44%で、前月から9%ポイント増えた。
ティマー氏は金融株とエネルギー株に注目。経済が軟着陸すれば両セクターが恩恵を受けると予想している。
<配当は伸び悩む>
S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスのプロダクト管理担当シニア・インデックス・アナリスト、ハワード・シルバーブラット氏によると、S&P500企業の配当は今年に入り伸び悩んでいる。原油安でエネルギー会社の配当が減ったことが一因という。
同社のデータによると、今年の増配率は現時点で9.1%と、前年同期の11.8%を下回る。今年に入り配当を停止もしくは減配した企業は14社。前年同期の4社から増加している。
ただ、シルバーブラット氏によると、株価の上昇が続く中、債券利回りに低下リスクがあるとの見方を背景に、高配当株に投資する動きが見られるという。
株価の上昇が巨大テック株やグロース株から他のセクターに波及していることも、高配当株の魅力を高める要因となっている。S&P500のエネルギーセクターと金融セクターは今月それぞれ5.7%、5.6%上昇している。
アドバイザーズ・アセット・マネジメントのクリフ・コルソ最高投資責任者は「景気後退懸念が多少和らげば、数週間前まで上昇相場に加わっていなかった高配当株も上昇機運に乗る可能性がある」と指摘。「FRBの利上げ停止が近づく中、こうした傾向は続くだろう」と述べた。
コルソ氏は、割安感のある金融株など景気敏感セクターの高配当銘柄に注目しているという。
ただ、経済の軟着陸が特に高配当株の支援要因になるとの見方に疑問を示す向きもある。
オールスプリング・グローバル・インベストメンツのポートフォリオマネージャー、ブライアント・バンクロンカイト氏は、株主への配当よりも企業買収の方が資本を有効活用できると分析。買収を通じて売り上げ拡大を目指す企業を探している。
(David Randall記者)