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中国国有銀行がドル売り、当局の元安ペース懸念示す

6月27日、中国の主要国有銀行は、人民元支援のためオフショア市場でドル売りを行っている。写真は北京で2016年1月撮影(2023年 ロイター/Jason Lee)
[上海/北京 27日 ロイター] - 中国の主要国有銀行は27日、人民元支援のためオフショアのスポット市場でドル売りを行った。状況に詳しい市場関係者4人が明らかにした。当局が最近の人民元下落ペースの鈍化を望んでいることを示唆している。
元は過去2カ月で約4%下落。消費者信頼感と不動産市場の低迷がコロナ禍からの景気回復を圧迫している。
オフショア元が心理的に重要な1ドル=7.25元に向けて下げる中でドル売りがみられたという。
これを受け元は0.4%高と過去約2週間で最大の上昇となった。
複数の市場関係者によると、国有銀行は前日のオンショア市場の取引終了直前にもドル売りを出した。
中国人民銀行(中央銀行)は27日、元の対ドル基準値を2日連続で市場予想よりも元高水準に設定した。
アナリストは、これらは当局が元安の勢いに懸念を抱いていることを示したが、下落ペースは鈍化しても停止には至らないとみている。
バンク・オブ・シンガポールの通貨ストラテジストは「当局はより緩やかな下落を望んでいるとのシグナルを増やしている」と指摘した。
ある市場関係者は「7.25元の水準が引き続き重要な節目になっている」とし、この水準を抜ければ昨年の安値まで急ピッチに元安が進む可能性があると述べた。
国有銀行は通常、人民銀行の委託で為替取引を行うが、自己勘定や顧客の委託で取引を行っている可能性もある。
アナリストは、元安阻止の動きはまだ昨年ほど強くないが、売りの勢いを鈍化させるには十分となる可能性があるとみている。
元は昨年11月、オンショア市場で2008年の世界的な金融危機以来の安値となる7.3280元まで下落、オフショア市場では7.3746元と最安値を記録した。
RBCキャピタル・マーケッツのアジア通貨戦略部門の責任者、アルビン・タン氏は「市場は今後、ドル/オフショア元のさらなる押し上げにより慎重になるだろう」と述べた。