ニュース速報

ビジネス

中国大手銀、政府の不動産部門支援指導に利ざや縮小の苦難

2022年09月07日(水)14時32分

 9月7日、中国の大手国有銀行は政府から債務と資金難に苦しむ重要な不動産部門への支援要請を受けて貸し出しを進める覚悟だが、ここ数か月では一連の利下げも発表されており、今年下期の銀行勢の利ざやは縮小不可避の見通しだ。写真は金融地区を臨む上海で6月撮影(2022年 ロイター/Aly Song )

[北京 6日 ロイター] - 中国の大手国有銀行は政府から債務と資金難に苦しむ重要な不動産部門への支援要請を受けて貸し出しを進める覚悟だが、ここ数か月では一連の利下げも発表されており、今年下期の銀行勢の利ざやは縮小不可避の見通しだ。銀行やアナリストの話やデータで明らかになった。

5大国有銀は先月に発表した4─6月期決算でいずれもある程度の増益を発表した。しかし、中国建設銀行と中国農業銀行と交通銀行とバンク・オブ・チャイナ(中国銀行)の4行はそれぞれ先月の決算発表時に、利ざや縮小を警告。

アナリスト予想に基づくリフィニティブのデータによると、純金利マージンは中国銀行で6月末に1.76%だったが、通年では1.71%に下がる見通し。建設銀行は2.09%が2.08%に低下すると予想されている。

4─6月期決算では既に中国工商銀行と建設銀行、農業銀行、交通銀行が純利ざやが低下していることを明らかにした。

中国ではコロナ感染予防のロックダウン(都市封鎖)と不動産不況が消費者心理や企業心理を大きく損ない、4─6月期の経済成長率もかろうじてマイナス成長を回避した状態にある。基準金利引き下げで銀行は資産利回りが低下するのに、預金獲得競争は引き続き激しい。アナリストは純利ざやが一段と圧迫される展開を予想する。

ナティクシスのアリシア・ガルシア・ヘレロ首席エコノミスト(アジア太平洋担当)は政府から銀行への不動産部門支援の指導について「最悪のタイミングだと思う。金利は低下基調にあって純利ざやは縮小しており、銀行の余力はずっと小さくなっているからだ」と話した。

中国銀行の劉金頭取も先週、決算会見で「銀行業はこれから純利ざやの縮小圧力に直面していくだろう」と厳しい状況を認めている。

ロイター
Copyright (C) 2022 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米加州、商用トラックの排ガス規制巡る申請取り下げ 

ワールド

韓国大統領を拘束、現職で初 尹氏「流血避けるため出

ワールド

印ディーラー向け乗用車販売、昨年は4.2%増 4年

ビジネス

ロシア、グーグルに7800万ドルの罰金 行政処分に
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン」がSNSで大反響...ヘンリー王子の「大惨敗ぶり」が際立つ結果に
  • 4
    「日本は中国より悪」──米クリフス、同業とUSスチ…
  • 5
    大麻は脳にどのような影響を及ぼすのか...? 高濃度の…
  • 6
    日鉄はUSスチール買収禁止に対して正々堂々、訴訟で…
  • 7
    ロシア軍高官の車を、ウクライナ自爆ドローンが急襲.…
  • 8
    ド派手な激突シーンが話題に...ロシアの偵察ドローン…
  • 9
    トランスジェンダーを抹消か...トランプ政権、気候変…
  • 10
    LA史上最悪の山火事が招いた、ハリウッド映画のよう…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分からなくなったペットの姿にネット爆笑【2024年の衝撃記事 5選】
  • 4
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 5
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 6
    ロシア兵を「射殺」...相次ぐ北朝鮮兵の誤射 退却も…
  • 7
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「…
  • 8
    装甲車がロシア兵を轢く決定的瞬間...戦場での衝撃映…
  • 9
    トランプさん、グリーンランドは地図ほど大きくない…
  • 10
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中