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焦点:コカ・コーラやマックも、ロシア撤退企業が直面する商標乱用
ロシアのウクライナ侵攻を受けてコカ・コーラやマクドナルドなど西側の有名企業が続々とロシアから撤退したが、同国ではその後コピー商品や無許可輸入が横行しており、企業は長年にわたる法廷闘争に直面している。写真はロシアの飲料企業チェルノゴロフカのソフトドリンク。モスクワ州チェルノゴロフカで7月28日撮影(2022年 ロイター/Alexander Reshetnikov)
[ニューヨーク/モスクワ 17日 ロイター] - ロシアのウクライナ侵攻を受けてコカ・コーラやマクドナルドなど西側の有名企業が続々とロシアから撤退したが、同国ではその後コピー商品や無許可輸入が横行しており、企業は長年にわたる法廷闘争に直面している。撤退した企業に対してロシア法廷は冷たく、闘争はリスクの高い賭けとなりそうだ。
コカ・コーラは8月に撤退を完了し、マクドナルドはロシア事業を売却。米日用品大手プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)などは生活必需品を売る一部事業だけ残している。
知的財産関連の弁護士によると、こうした企業はブランド価値の低下を防ぐため、また場合によってはロシアに復帰する可能性を見据え、商標を守ろうとしている。しかし、あの手この手で商標を利用しようとする企業家や並行輸入業者、法廷による手のひら返しなど、大きな壁が待ち受ける。
コカ・コーラは既に、自社商品の無許可輸入や炭酸飲料ブランド「ファンタ」のコピー商品を巡って法廷闘争を始めたものの、泥沼にはまっている。他の企業の闘争は始まったばかりだ。
調査会社によると、ロシア政府の知的財産当局ロスパテントには、人気の高い西側ブランドの商標を獲得しようと大量の申請が寄せられている。
知財専門家によると、平時であれば既存ブランドと同一、もしくはそれに酷似した商標の申請は当局が却下する。
しかしロシア政府は今春、米国や英国など「非友好的」と見なした国々の特許を、企業が無料で利用するのを認める指令を採択した。
ロシアは現在、幅広い商品について「並行輸入」、つまり非正規のルートで仕入れて販売することも認めている。
米法律事務所ボルペ・コーニグの弁護士キャレイ・カルプ氏は、著名ブランドにとってロシアは「無法地帯」のようだと指摘。「ロシアにおける大きな問題は、法廷が西側ブランドを支持してくれるかどうかだ」と語った。
<法廷は味方せず>
コカ・コーラは今のところ、法廷でロシアの判事を味方に付けられた試しがほとんどない。
ロシア政府は炭酸飲料を並行輸入の許可対象に加えていないにもかかわらず、輸入業者ピボインダストリアは「ファンタ」や「チェリーコーク」など数千缶をロシアで販売することができている。同社幹部によると、これらは米国の小売店コストコやウォルマートで購入したもので、今後さらに輸入を増やしたい考えだ。
ピボインダストリアの弁護士によると、コカ・コーラは、これら商品の出荷差し止め命令を通関に出すよう法廷に求めたが失敗。「(判事は)並行輸入は競争を促進し、価格を引き下げ、消費者のためになるので良いことだと分かっている」と弁護士は述べ、ロシア企業を支えることにもつながると付け加えた。
コカ・コーラは控訴している。
ロシアの裁判所は同国のウクライナ侵攻前、飲料企業チェルノゴロフカが販売している飲料「ファントーラ」を承認しており、法廷書類によるとコカ・コーラはこれについても4月に取り消しを求めた。名称が「ファンタ」に似ているためだ。
しかしチェルノゴロフカの幹部はロイターに対し、「わが社はこの訴訟に何度も勝っている。ロシアだけでなく、複数の国でだ」と述べた。
コカ・コーラが撤退した今、チェルノゴロフカは90億ドル近いロシアのソフトドリンク市場でシェア50%を目指している。
<お母さんのボルシチ>
西側ブランドの「ロシア化」を目論む企業家もいる。
クマの形のグミで有名なドイツの菓子企業ハリボーは6月、「ロシアのハリボー」というキリル文字の名称を利用したいという申請について、当局に異議申し立てを行った。
5月にはある企業家が、赤地に黄色い「M」を配したマクドナルドのデザインに「お母さんのボルシチ」というキリル文字の装飾をあしらい、カフェやバーで使うことへの許可申請を出した。法律事務所が見つけた申請書で明らかになった。
別の申請書類を見ると、6月にはスニーカーのブランド「ニューバランス」をキリル文字で使用することへの許可申請も出ている。
マクドナルドとニューバランスはコメント要請に答えなかった。
*カテゴリーを追加して再送します
(Jessica DiNapoli記者、Alexander Marrow記者)