ニュース速報

ビジネス

経営難の独ウニパー、150億ユーロの支援確保 政府が30%出資

2022年07月23日(土)04時57分

欧州のエネルギー危機で経営難に陥っているドイツのガス・電力会社ウニパーは22日、ドイツ政府による救済策の一環として、150億ユーロの保証と出資を確保した。デュッセルドルフの本社で8日撮影。(2022年 ロイター/Wolfgang Rattay//

[フランクフルト/ヘルシンキ/ベルリン 22日 ロイター] - 欧州のエネルギー危機で経営難に陥っているドイツのガス・電力会社ウニパーは22日、ドイツ政府による救済策の一環として、150億ユーロ(152億ドル)の保証と出資を確保した。

ドイツ政府が同社に30%出資する。ウニパーの親会社であるフィンランドのフォータムの出資比率は80%前後から56%に低下する。

ウニパー、フォータム、ドイツ政府はウニパーのガスの卸売契約構造を改革するため長期的に安定した解決策を模索する。2023年末までの合意を目指す。

また、ウニパーは今後数カ月のうちにガス料金の高騰に伴うコスト増の一部を消費者に転嫁できるようになる。ドイツのショルツ首相はコスト転嫁は貧困世帯を保護する支援措置によって相殺されると述べた。

発表を受け、ウニパーの株価は30%以上急落し最安値を更新。フォータムの株価も3%下げた。

ドイツ政府はウニパーの普通株式1億5700万株を2億6700万ユーロで新たに取得する。まだ最大77億ユーロを用い、転換義務付け証券を引き受ける。

さらに政府系金融機関の復興金融公庫(KfW)が既存の融資枠を70億ユーロ増やし合計90億ユーロにする。

ショルツ首相はドイツ政府は最終的に株式を手放すことになるだろうと述べた。

もっとも、救済策には欧州委員会の承認のほか、S&Pがウニパーの格付けについて投資適格級と確認することやウニパー株主からの支持が必要となる。

さらに一定の条件も設けられており、これにはウニパーが石炭の段階的廃止を巡るオランダに対する訴訟を取り下げることや救済期間中の配当の支払い停止を確約することなどが含まれている。

このほか、ドイツ最大のロシア産ガスの輸入業者であるウニパーは22日、過去および現在のガス供給不足を巡りロシア国営ガスプロムに対して法的措置を取ると発表した。

ロイター
Copyright (C) 2022 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国、米イルミナの遺伝子解析機器を禁輸に 関税上乗

ビジネス

中国、消費促進目的の金融政策ツール考案を 人民銀ア

ワールド

中国が対米報復関税、鶏肉や小麦に10日から10─1

ビジネス

中国BYD、新株発行で55.9億ドル調達 UAE社
MAGAZINE
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
2025年3月11日号(3/ 4発売)

ジャンルと時空を超えて世界を熱狂させる新時代ピアニストの「軌跡」を追う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 2
    「浅い」主張ばかり...伊藤詩織の映画『Black Box Diaries』論争に欠けている「本当の問題」
  • 3
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 4
    ニンジンが糖尿病の「予防と治療」に効果ある可能性…
  • 5
    アメリカで牛肉さらに値上がりか...原因はトランプ政…
  • 6
    イーロン・マスクの急所を突け!最大ダメージを与え…
  • 7
    バンス副大統領の『ヒルビリー・エレジー』が禁書に…
  • 8
    米ウクライナ首脳会談「決裂」...米国内の反応 「ト…
  • 9
    世界最低の韓国の出生率が、過去9年間で初めて「上昇…
  • 10
    生地越しにバストトップがあらわ、股間に銃...マドン…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    イーロン・マスクへの反発から、DOGEで働く匿名の天才技術者たちの身元を暴露する「Doxxing」が始まった
  • 4
    ニンジンが糖尿病の「予防と治療」に効果ある可能性…
  • 5
    富裕層を知り尽くした辞めゴールドマンが「避けたほ…
  • 6
    イーロン・マスクのDOGEからグーグルやアマゾン出身…
  • 7
    「絶対に太る!」7つの食事習慣、 なぜダイエットに…
  • 8
    「浅い」主張ばかり...伊藤詩織の映画『Black Box Di…
  • 9
    ボブ・ディランは不潔で嫌な奴、シャラメの演技は笑…
  • 10
    東京の男子高校生と地方の女子の間のとてつもない教…
  • 1
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 4
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアで…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 8
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 9
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 10
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チー…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中