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中国、1─2月の工業部門利益5.0%増に加速 見通しは不透明

中国国家統計局が27日発表した1─2月の工業部門企業利益は前年同期比5.0%増加した。伸び率は昨年12月の4.2%から加速した。北京の工場で2017年11月撮影(2022年 ロイター)
[北京 28日 ロイター] - 中国国家統計局が27日発表した1─2月の工業部門企業利益は前年同期比5.0%増加した。伸び率は昨年12月の4.2%から加速した。他の統計と同様に好調さを示したが、国内での新型コロナウイルス感染拡大やウクライナ危機が見通しに影を落としている。
1─2月は、原油や石炭といったコモディティー(商品)価格の上昇を背景にエネルギー・原材料セクターが利益の伸びをけん引した。
ただ下流部門などで原材料コスト高が重しとなり、昨年11月以降、利益の伸びは1桁台に落ち込んでいる。
1─2月の工業部門利益の伸び加速は、鉱工業生産や小売売上高、固定資産投資の改善と一致し、最近の政策措置による効果が表れ始めていることを示した。
それでも、このところの新型コロナウイルス感染拡大により、地域経済が圧迫され、個人消費が一段と冷え込む恐れがある。
ゴールドマン・サックスのアナリストはノートで「下流部門の利益率がさらに低下し、上流との差が拡大した」と指摘。「複数の省でコロナの感染が拡大していることが、短期的に工業部門利益を圧迫すると予想している」とした。その上で、金融・財政政策の追加緩和が予想されると付け加えた。
ウクライナでの戦争など世界情勢の混乱も、サプライチェーン(供給網)を巡る不透明感を高めているほか、コモディティーやエネルギー価格の一段の高騰につながって中国企業の利益を押し下げる可能性がある。
28日付の国営英字紙チャイナ・デーリーに掲載された意見記事は「紛争中の国々はエネルギーや農産物の重要な輸出国であり、ロシアへの包括的な制裁は世界のサプライチェーンに多大な悪影響を与える可能性がある」と指摘。「現在の堅調な経済パフォーマンスは苦労して達成したものであり、潜在的なリスクが依然存在する中、中国は初期の回復を守るためできるだけ早期に拡張的な政策を打ち出すべきだ」と付け加えた。
工業部門企業利益統計は、主要事業の年間売上高が2000万元を超える大企業が対象。