ニュース速報

ビジネス

米労働生産性、第3四半期は4.6%上昇 単位労働コスト6.6%低下

2020年12月09日(水)02時42分

米労働省が8日発表した第3・四半期の非農業部門の労働生産性(改定値)は年率換算で前期比4.6%上昇した。インディアナ州ココモで4月撮影(2020年 ロイター/CHRIS BERGIN)

[ワシントン 8日 ロイター] - 米労働省が8日発表した第3・四半期の非農業部門の労働生産性(改定値)は年率換算で前期比4.6%上昇した。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が引き起こした景気後退(リセッション)から生産が大幅に持ち直す一方、雇用の回復が劣っていることが背景となっている。市場予想は4.9%上昇だった。

先月発表の速報値は4.9%上昇。

第2・四半期は前期比10.6%上昇し、1971年第1・四半期以来の大幅な伸びだった。

第3・四半期GDPは年率で前期比33.1%増と、過去最大の伸びを記録。政府が企業や個人に対して3兆ドルを超える支援策を導入したことが追い風となった。第2・四半期GDPは前期比31.4%減と、過去最大の落ち込みだった。生産性が力強く伸びているのは、GDPの伸びと労働市場が一致していないためだ。

経済は新型コロナ危機で失った総生産の3分の2を回復したが、3月と4月に失った2220万人の雇用は約56%しか取り戻せていない。生産と雇用の大きな格差は景気後退期には珍しくなく、2007―09年の世界金融危機の時も同じような傾向がみられた。

新型コロナ危機は娯楽や宿泊など、低賃金産業に大打撃となった。エコノミストはこうした産業の方が生産性が低いという。

ムーディーズ・アナリティクスのチーフエコノミスト、マーク・ザンディ氏は、経済活動が中小規模の小売業から大手企業へ移行したと述べる。また、パンデミックを機に各産業の大手企業は、労働を節減する技術を積極的に導入してきたと指摘。「基調的な生産性は前と変わっておらず、今後も生産性の伸びが根本的に変わることはないが、良好な政策を実施しない限り全ての雇用を回復するには時間がかかるだろう」と指摘した。

第3・四半期の労働生産性は前年同期比で4.0%上昇だった。速報値は4.1%上昇。

労働時間は37.1%増と、速報値の36.8%増から上方改定された。第2・四半期は42.9%減と、過去最大の落ち込みだった。

生産単位当たりの報酬を示す単位労働コストは前期比6.6%低下と、速報値の8.9%低下から改定された。第2・四半期は12.3%上昇だった。第3・四半期は前年同期比で4.0%上昇。

JPモルガンのエコノミスト、ダニエル・シルバー氏は「単位労働コストがここ数四半期乱高下しているため、基調的な動きが読みにくいが、総じて言えば、新型コロナによる景気への打撃は労働者の報酬を下押しすることになる」と語った。

時間当たりの労働報酬は前期比2.3%減と、速報値の4.4%減から改定された。第2・四半期は24.3%増だった。第3・四半期は前年同期比で8.2%増。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、FDA長官に外科医マカリー氏指名 過剰

ワールド

トランプ氏、安保副補佐官に元北朝鮮担当ウォン氏を起

ワールド

トランプ氏、ウクライナ戦争終結へ特使検討、グレネル

ビジネス

米財務長官にベッセント氏、不透明感払拭で国債回復に
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたまま飛行機が離陸体勢に...窓から女性が撮影した映像にネット震撼
  • 4
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 5
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    「何も見えない」...大雨の日に飛行機を着陸させる「…
  • 8
    クルスク州のロシア軍司令部をウクライナがミサイル…
  • 9
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではな…
  • 10
    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 4
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 5
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中