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トルコ大統領、仏製品ボイコット呼び掛け 風刺画引き金に対立深まる
トルコのエルドアン大統領は26日、国民に対しフランス製品をボイコットするよう呼び掛けると同時に、欧州連合(EU)首脳に対しフランスのマクロン大統領の「反イスラム」政策を止めさせるよう訴えた。写真はエルドアン大統領。3月5日撮影(2020年 ロイター/Pavel Golovkin)
[パリ/アンカラ 26日 ロイター] - トルコのエルドアン大統領は26日、国民に対しフランス製品をボイコットするよう呼び掛けると同時に、欧州連合(EU)首脳に対しフランスのマクロン大統領の「反イスラム」政策を止めさせるよう訴えた。
フランスでは、教師が表現の自由に関する授業でイスラム教の預言者ムハンマドの風刺画を使用した後、イスラム過激派とみられる容疑者に首を切られ殺害される事件が発生。これを引き金に、クウェートやサウジアラビアでフランス製品や小売チェーンのボイコットする動きが広がったほか、バングラデシュではこの日、マクロン大統領に抗議するデモが行われた。
エルドアン大統領は、イスラム教の預言者ムハンマド生誕を記念する週の開始にあたり演説し、欧州首脳はマクロン大統領の「反イスラム」政策をやめさせる必要があると指摘。「トルコ国民に対し、フランスのブランドを支援することも、購入することもしないよう呼び掛ける」と述べた。
エルドアン大統領は24日、マクロン大統領について、イスラム教への考え方を巡って「精神的な治療が必要」と批判。これを受け、フランス政府は駐トルコ大使を呼び戻し、両国の軋轢が高まっている。
トルコとフランスはいずれも北大西洋条約機構(NATO)加盟国だが、シリアとリビアの内戦や、東地中海の領域、ナゴルノカラバフ紛争などの問題を巡って対立している。
エルドアン大統領は3日連続で、マクロン大統領には「精神的な治療が必要」と発言。「フランスではトルコ製品を購入するなとの声が出ている。私もまったく同じで、すべての市民に対し、今後絶対にフランス製品を助けたり購入してはならないと呼び掛ける」と述べた。
これに対し、欧州連合(EU)域内のフランス同盟国はマクロン大統領を擁護。イタリアのコンテ首相はマクロン大統領との「結束」を表明。ドイツのマース外相はエルドアン大統領によるマクロン大統領への個人攻撃を批判したほか、オランダのルッテ首相は表現の自由に関するフランスのスタンスを支持すると言明した。
トルコの統計局によると、フランスにとってトルコは10番目に大きな輸出市場。トルコにとってフランスは7番目に大きな輸出市場となっている。フランス車はトルコでも特に売れている。
在アンカラのフランス大使館は26日遅く、トルコ国内にいるフランス人に対し、国内外の情勢を踏まえ「強く警戒」するよう呼び掛けた。公の場での抗議活動や集会を行わないよう求めている。
マクロン大統領は「イスラム分離主義」がフランス国内の一部のイスラム社会を乗っ取ろうとしているとして、イスラム分離主義と戦う意向を示している。
*内容を追加しました。