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シンガポール金融管理局、6年ぶりに金融引き締め
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4月13日、シンガポール金融管理局(MAS、中央銀行)は、2012年4月以来、6年ぶりに金融政策を引き締めた。写真はMASのロゴ。2013年2月にシンガポールの同管理局ビルで撮影(2018年 ロイター/Edgar Su)
[シンガポール 13日 ロイター] - シンガポール金融管理局(MAS、中央銀行)は13日、2012年4月以来、6年ぶりに金融政策を引き締めた。
また「米中貿易摩擦が激化する可能性はまだあり、そうなれば世界貿易に大きな影響を及ぼす」として警戒感を示しつつも、2018年のシンガポール経済は引き続き着実に成長するとの見通しを示した。
MASは今回、金融政策手段としているシンガポールドル(Sドル)名目実効レート(NEER)の政策バンドの上昇率を、従来のゼロ%から若干引き上げると発表した。ただ、バンド幅と中央値は変更しなかった。
ロイター調査では、アナリスト19人のうち12人がNEERの政策バンド上昇率の小幅引き上げによる金融引き締めを予想。残る7人は政策据え置きを予想していた。
MASは、NEERの政策バンドの上昇率や幅、中央値を調整して金融政策を運営している。
MASは声明で「この政策スタンスは、中期的な物価安定につながるNEER政策バンドの控えめかつ段階的な上昇軌道と一致する」と表明。「政策スタンスの慎重な調整は、貿易を巡る緊張がマクロ経済に与える影響が不透明なことを考慮している。MASは引き続き経済の動向を注視していく」と説明した。
OCBCの債券リサーチ・戦略部門責任者、セリーナ・リン氏は引き締めについて、今年から来年にかけてコアインフレがやや上振れる傾向にあることを踏まえ、予防的に措置を講じた格好だと指摘。声明のトーンは比較的慎重であり、10月に追加引き締めが必要になる可能性は低いとの見方を示した。
一方、メイバンクキムエン証券のエコノミスト、リー・ジュエ氏は、MASの声明は今年の経済成長やインフレの見通しについてこれまでより楽観的で、近年で最も強気の内容だったと指摘した。追加引き締めについては、成長が上振れしない限り、年内は想定していないと述べた。
この日発表されたシンガポールの第1・四半期の国内総生産(GDP)成長率は前期比年率1.4%となり、市場予想の1.0%を上回った。
MASは政策バンドの上昇率(傾き)をどの程度引き上げたか、具体的な数値を公表していないが、アナリストらは年間上昇率で0.5%と推定している。
RBCキャピタル・マーケッツ(香港)のアジア通貨戦略責任者、スー・トリン氏は「世界情勢を考えれば、MASがこんなに早く引き締めに動いたことに驚いている。貿易戦争が激化すれば、やや引き締め気味のスタンスを大急ぎで反転させるかもしれない」と予想した。
MASの決定とGDP発表を受け、シンガポールドルは一時0.3%上昇したが、すぐに反落し、直近は1米ドル=1.3127シンガポールドルと、前日終値比でやや弱含んでいる。
*内容を追加しました。