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アングル:ノルウェーや中国など中銀勢、ユーロ圏債の購入拡大
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4月10日、世界の主要中央銀行がユーロ圏の政府債購入を拡大している。写真は北京の中国人民銀行。2016年1月撮影(2018年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
[ロンドン 10日 ロイター] - 世界の主要中央銀行がユーロ圏の政府債購入を拡大している。利回りの上昇やユーロ高、ドルと米国債の先行き不透明感がその動機だ。複数の銀行関係者が明らかにした。
データからは、先月発行されたベルギーとフランスの国債、あるいはドイツ政府の保証が付いた復興金融公庫(KfW)の債券において、中銀勢の購入が大きな割合を占めたことが分かる。
欧州政府債のシンジケート団方式による販売に携わっている2人の銀行幹部はロイターに、とりわけ活発に買っているのはノルウェーと中国の中銀だと明かした。
このうちの1人は「中銀勢の買いは全般的に上向いているが、欧州ではノルウェー、アジアでは中国という2大勢力が強いけん引役になっている。ノルウェーはヘッジファンドのように振る舞うので、こうした買いは投資の一環である一方、中国にとっては米国債以外の選択肢探しの面がある」と話す。
直近のデータによると、中国の外貨準備高は3兆1430億ドル、ノルウェー中銀の投資部門は1兆0800億ドルの資産を運用している。金融市場における影響力の大きさと存在感の重さから、中銀の政府債購入動向は注目の的だ。
欧州政府債の人気が高まっている理由の1つは、今年に入ってからの利回り上昇。背景には欧州の景気回復に伴って、欧州中央銀行(ECB)が量的緩和(QE)を打ち切るとの観測がある。
またトランプ政権内からドル安を歓迎する声が出たことや、米政府が多額の借り入れに乗り出しつつあるため、ドルと米国債の先行き懸念は増大している。
中国人民銀行(中銀)のあるアドバイザーは9日、同国の準備資産を米国債ではなく実物資産に投資してより有効に活用すべきだと語った。
<高まる需要>
ユーロ圏の債務危機を受け、2009年以降に中銀勢は準備通貨としてのユーロを削減し、安全なドルに向かった。国際通貨基金(IMF)のデータでは、世界の中銀の準備通貨に占めるドルの割合は63%に達している。この間ユーロの割合は28%から20%弱に低下した。
ただ昨年第4・四半期になってユーロの割合は20.15%とやや回復。欧州政府債の販売状況を見ると、今年になってさらに割合が上向いていることがうかがえる。
欧州の長期政府債販売で中銀勢の購入は全体の5─15%となるのが通常の傾向だ。ところが今年はベルギーが1月に発行した10年債で全体の20%、3月に発行した15年債で26%を中銀勢が買った。
ベルギー債務管理庁のアン・ルクレール長官は「今年は(国債の引き受けで)中銀勢の参加が目立つ。彼らは普段なら買い意欲を見せるのは期間10年までだが、15年物でも多くの引き合いがある」と驚く。
KfWの5年債では43%を中銀勢が占め、同公庫の財務担当者は、欧州とアジアの中銀からのしっかりした需要のおかげもあって、予定額を発行することができたと述べた。
フランスが売り出した2036年償還の物価連動債は、公的機関への割り当てが9%と、昨年1月時点の2倍以上だった。
欧州各国は政府債の購入で中銀勢のウエートが高まったことを歓迎するだろう。中銀勢は信頼性の高い保有者で、ユーロも恩恵を受ける可能性がある。
ファンドマネジャーの民間資金や外国からの直接投資が欧州に戻ってきていることもあり、ユーロは対ドルで3年ぶりの高値まで上昇し、ユーロ圏の景気回復に楽観論が広がっている。
シティのアナリストチームは、ECBが債券買い入れを減らして金利を引き上げるのに伴って、欧州債の利回りが上がり、資金を呼び込む展開になってもおかしくないと予想する。
MUFGのグローバル市場調査欧州責任者デレク・ハルペニー氏は「われわれはより長期のドル安トレンドに入ったのかもしれない。それが確認された場合、ユーロ買い意欲の高まりにつながると思う。なぜなら代わりの投資先はないからだ」と指摘した。
(Abhinav Ramnarayan、Tommy Wilkes記者)