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ユーロリスク低下で為替大きく変動しない=渡辺元財務官

2017年05月16日(火)20時41分

 5月16日、渡辺博史元財務官トムソン・ロイターニュースセミナーに参加し、為替市場は大きく変動しないとの見方を示した。都内で昨年3月撮影(2016年 ロイター/Yuya Shino)

[東京 16日 ロイター] - 渡辺博史元財務官(現・国際通貨研究所理事長)は16日、都内で行われたトムソン・ロイターニュースセミナーに参加し、為替市場は大きく変動しないとの見方を示した。

米トランプ政権の誕生により、かえって欧州はメルケル独首相の求心力が高まっており、懸念されていたユーロ圏分裂の可能性が低下しているとの見解を示した。世界経済のリスク要因として、原油価格低迷による一部産油国の財政悪化を指摘した。

渡辺氏は、ここ2-3年、フランスのルペン氏の躍進などによるユーロ圏分裂の可能性に警鐘を鳴らしてきた。

しかし、米国でトランプ政権が誕生した後、欧州ではかえってポピュリズム政党の勢いが弱まってきたと指摘。「欧州のリーダーは、やはりメルケル氏しかいないとの見方から、一時は移民対応などで人気が低下していたメルケル政権が安定している」と指摘した。

このため為替市場は「狭いレンジで推移する」との見通しを示した。米株価は米利上げにより「少し調整する可能性がある」とした。

世界経済のリスクとしては、原油安による「産油国の中期の財政計画が大幅に狂う可能性」を挙げ、「危険は高まっている」と警鐘を鳴らした。

財政破綻リスクのある国が増えれば、国際通貨基金(IMF)の支援対象国が増えかねないため、「国際通貨基金(IMF)のギリシャへの(支援)対応が厳しくなってきている」と指摘した。

また、米トランプ政権が北朝鮮との和解に踏み切ったとしても「市場は大きく反応しない」との見方を示した。

米英などが相次いで打ち出した法人税引き下げに「日本が付き合うと、日本は税収に占める法人税の比率が大きいため、財政破綻の可能性がある」と警鐘を鳴らした。

(竹本能文 編集:田巻一彦)

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