ニュース速報

ビジネス

英拠点の銀行、フランクフルトへの移転を協議=ドンブレト独連銀理事

2017年03月30日(木)09時56分

 3月29日、ドイツ連邦銀行(中央銀行)のドンブレト理事は、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)により、すでに複数の銀行がフランクフルトへの移転で協議を行っていることを明らかにした。写真はフランクフルトの金融街、昨年1月撮影(2017年 ロイター/Kai Pfaffenbach)

[フランクフルト 29日 ロイター] - ドイツ連邦銀行(中央銀行)のドンブレト理事は、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)により、すでに複数の銀行がフランクフルトへの移転で協議を行っていることを明らかにした。一方、これらの銀行が規制面で特別な扱いを受けることはないと明言した。

ロイターとのインタビューで述べた。インタビューはメイ英首相が正式にEUに離脱を通告するこの日公表解禁とされていた。

同理事は「フランクフルトに関心がある多くの銀行から接触があり、すでに興味深い協議を数多く行った」と述べた。

さらに「すべての銀行が同じ都市に集まることはなく、移転には広がりができるだろう」と語った。

英国に拠点を置く銀行の誘致でフランクフルトは、パリやミラノ、アムステルダム、ダブリンといった他国の都市と競うことになる。しかし、ドンブレト氏はドイツがフランクフルトへの銀行誘致のために好条件を示すことはないと強調。「規制面での裁定取引は認めない。(定められているよりも厳しい基準を満たし)規則を上回ることは可能だが、下回ることは許されない」とし、ドイツ連邦銀行としてフランクフルトを売り込むことはしないと説明した。

銀行がEU域内で活動するにはいわゆる「EUパスポート」と呼ばれる許可が必要となり、EU加盟国の少なくとも1カ国に地域本部を置く必要がある。ユーロ圏の巨大銀行を管轄する欧州中央銀行(ECB)によると、オペレーションのいくつかを移すと言っているケースは現時点では少ないが、問い合わせは数十件に上るという。

ドンブレト氏は、英国のEU離脱により、必要性が大いに指摘されているドイツ金融機関の統合・合併が急激に進むとは思っていないと指摘した。

国内に約1900ある銀行は大半が小規模で、一般消費者向けサービスに軸足を置いた貯蓄銀行や協同組合銀行だとし「ドイツの銀行の99%は、ここに拠点を移すような銀行とは競争関係にない」との見方を示した。

ドンブレト氏は投資銀行での勤務を経て7年前にドイツ連銀の理事に就任。来年、任期の期限を迎える。現在57歳。

*29日配信の記事に内容を追加して再送します。

ロイター
Copyright (C) 2017 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

NATOプレゼンス強化へ、バルト海ケーブル破断 エ

ビジネス

キャシー・ウッド氏、トランプ効果の広がり期待 減税

ビジネス

タイ、グローバル・ミニマム課税導入へ 来年1月1日

ワールド

中国、食料安全保障で農業への財政支援強化へ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2025
特集:ISSUES 2025
2024年12月31日/2025年1月 7日号(12/24発売)

トランプ2.0/中東&ウクライナ戦争/米経済/中国経済/AI......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊」の基地で発生した大爆発を捉えた映像にSNSでは憶測も
  • 2
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3個分の軍艦島での「荒くれた心身を癒す」スナックに遊郭も
  • 3
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部の燃料施設で「大爆発」 ウクライナが「大規模ドローン攻撃」展開
  • 4
    「とても残念」な日本...クリスマスツリーに「星」を…
  • 5
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
  • 6
    なぜ「大腸がん」が若年層で増加しているのか...「健…
  • 7
    わが子の亡骸を17日間離さなかったシャチに新しい赤…
  • 8
    ウクライナの逆襲!国境から1000キロ以上離れたロシ…
  • 9
    日本企業の国内軽視が招いた1人当たりGDPの凋落
  • 10
    滑走路でロシアの戦闘機「Su-30」が大炎上...走り去…
  • 1
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 2
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 3
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊」の基地で発生した大爆発を捉えた映像にSNSでは憶測も
  • 4
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 5
    ウクライナの逆襲!国境から1000キロ以上離れたロシ…
  • 6
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
  • 7
    おやつをやめずに食生活を改善できる?...和田秀樹医…
  • 8
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 9
    9割が生活保護...日雇い労働者の街ではなくなった山…
  • 10
    なぜ「大腸がん」が若年層で増加しているのか...「健…
  • 1
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 2
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 3
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊」の基地で発生した大爆発を捉えた映像にSNSでは憶測も
  • 4
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼ…
  • 5
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 6
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達し…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田…
  • 9
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 10
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中