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タカタ、エアバッグ部品の試験データを広範囲に操作=ホンダ

7月19日、タカタ製エアバッグの欠陥問題で、ホンダがタカタに依頼した第三者による監査の初期結果から、エアバッグを膨らませる部品のインフレ―タ―(ガス発生装置)の試験データに広範囲な操作があったことが判明した。写真は都内で2014年12月撮影(2016年 ロイター/Yuya Shino)
[東京/ワシントン 19日 ロイター] - タカタ<7312.T>製エアバッグの欠陥問題で、ホンダ<7267.T>がタカタに依頼した第三者による監査の初期結果から、エアバッグを膨らませる部品のインフレ―タ―(ガス発生装置)の試験データに広範囲な操作があったことが判明した。ただし、この結果による新たなリコール(回収・無償修理)の必要はないという。ホンダが19日、明らかにした。
最大顧客のホンダがタカタ製インフレ―タ―に絡む訴訟に関連し、タカタから提出された数百万ページに及ぶ同社の内部書類を検証したところ、タカタが試験データを不適切に報告していたことが発覚。ホンダはタカタに第三者による監査を求め、タカタもこれを承諾。監査は昨年10月から始まった。ホンダは昨年11月に、この事実と監査を要請したことを公表している。
ホンダによると、米道路安全保険協会のトップを務めていたブライアン・オニール氏が監査チームを主導。第1段階として、昨年10月時点でリコール対象外のインフレ―ターを検証した。
ホンダの広報担当クリス・マーティン氏は「監査では多くのデータ操作が判明したが、昨年10月時点でリコールされていないホンダ車に使われているインフレ―ターの試験データとその報告書の中には、安全性を脅かすリスクは何も確認されなかった」と述べた。ホンダは来週にも監査チームから最終結果を受け取り、米当局にも報告する見通し。
タカタは「以前からインフレ―ターの検証試験や試験結果の(ホンダなど)顧客への報告に関連した問題を認めており、たいへん遺憾」とのコメントを発表。「これらの問題はタカタのエンジニアリングの基準や手続きと完全に矛盾しており、弁解の余地はまったくない」とした。
タカタ製インフレ―ターは高温多湿の環境に長時間さらされると異常破裂を起こす場合があり、関連したとみられる事故で少なくとも海外で14人が死亡、150人以上の負傷者(日本で1人)が出ている。根本的な原因が特定されていないため、予防的措置として自動車メーカー各社がリコールを拡大させており、リコール費用を全額肩代わりしている。自動車メーカーとタカタとの間で、問題の責任度合いに応じて今後、費用の分担比率が決まる。リコール対象は最大1億個、費用は1兆円規模に上る可能性がある。
監査結果に関してはブルームバーグが先に、オニール氏のコメントを引用し、インフレ―ターの性能のばらつきを意図的に減らすため、タカタの技術者が試験結果の一部を削除していたと伝えた。
(田実直美、David.Shepardson 取材協力:白木真紀)