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アングル:監査等委設置会社への移行が地銀に波及、伊予銀が初表明
3月27日、上場企業で相次ぐ監査等委員会設置会社への移行表明が、地方銀行業界にも波及してきた。写真は、銀行の看板、2009年8月撮影(2015年 ロイター)
[東京 27日 ロイター] - 上場企業で相次ぐ監査等委員会設置会社への移行表明が、地方銀行業界にも波及してきた。伊予銀行<8385.T>は先陣を切って移行を決め、新制度のもとで経営の執行と監督の分離、経営の迅速化を図る。
5月の改正会社法施行で新設される監査等委員会設置会社では、定款を変更すれば業務執行を担当する取締役と、経営を監督する監査等委員などの取締役との役割分担を臨機応変に決めることができる。伊予銀は定款変更を予定しており、「執行と監督の分離を図るとともに、迅速な意思決定を目指す」(総合企画部)と説明する。
監査等委員会設置会社は、多くの日本企業が採用する監査役設置会社と社外取締役に大きな権限を与える委員会設置会社の中間的な位置づけで、柔軟な規定が多い。
三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306.T>など大手行では委員会設置会社への移行が広がってきたが、地銀は監査役設置会社がほとんど。コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)が求める複数の独立社外取締役の選任も進んでいないのが現状だ。
しかし、監査等委員会設置会社に移行すると、すでにいる独立社外監査役を監査等委員として取締役に横すべりさせることでガバナンス・コードの要求を満たすことが可能となる。
「看板を掛け替えるだけ」(法曹関係者)との批判も少なくないが、金融庁は「監査等委員は取締役会で議決権を持っているうえ、経営判断が適切だったかどうかまで監査できる」(幹部)として、ガバナンス向上に資するとしている。
27日午後には、北国銀行<8363.T>も移行を表明。別の地銀幹部も「検討課題の1つ」としており、社外取締役不足に悩む地銀にとっては、ガバナンス強化に向けた切り札となる可能性もありそうだ。
(和田崇彦 編集:布施太郎)