コラム

GAFAMには哲学者がいる、本質を探究しない日本企業は「不真面目」

2021年03月13日(土)11時40分

「お金のまなびば!」より

<世界のIT市場を牽引するGAFAMにあって、日本企業にないものとは何なのか――。誤解されがちな「投資家の生き方」に、日本が明るい未来を迎えるためのヒントがある>

カリスマ投資家の藤野英人氏と、お金や投資、経済について学んでいくYouTubeチャンネル「お金のまなびば!」

前回に引き続き、同チャンネルの動画「【対談】プロの投資家とIT社長で本気でお金を語る」から、藤野氏とGunosy代表取締役社長、竹谷祐哉氏が語る「お金」と日本の問題点を取り上げる。

前回の記事(お金のネガティブな印象と悪しき日本の「頑張りズム」)では、効率や生産性、付加価値の上げ方よりも、「つらい仕事を頑張ること」「汗水たらして働くこと」が称賛される日本社会の弊害を紹介した。

藤野氏によると、日本企業にはほかにも致命的な問題点が存在する。それは、そもそも自分たちが何者であるか、どういう会社であるかを話す時間がとても少ないということだ。

世界的なIT企業であるGoogle、Amazon、Facebook、Apple、Microsoftの5社は、それぞれの頭文字をとって「GAFAM」と呼ばれる。藤野氏によると、GAFAMの経営には哲学者が関わっているという。

「例えばAmazonなら『買うとはどういうことか』、Facebookなら『コミュニケーションとは何か』を本質的に考えている人がいる。活発な議論から生まれる仮説と、それに基づいた小さなトライアンドエラー。その繰り返しがGAFAMの世界的地位を確立させた」

日本の技術力には以前ほどの勢いは見られないものの、未だ世界で高い水準にあることは間違いない。

しかし、「経済の本質」を本気で探索する議論をする企業や経営者は少ない。なぜなら、日本の社会では物事の本質よりも「規範に対して忠実に行動すること」が求められるからだ。

藤野氏はこのことを「日本企業はある意味、不真面目だ」と指摘する。

真面目の語源は宋時代の漢詩の「真面目(しんめんもく)」までさかのぼり、本来の意味は、リアルな顔、つまり"自分らしくそれぞれに生きている、本質的に生きている"こと。

その人がその人らしく、素直に「なぜだろう」を突き詰めることが、本来の真面目だとすると、その問いをしないことは、不真面目なのだという。

fujino20210313talk-2-2.jpg

「お金のまなびば!」より

お金よりも大事な「投資家思考」とは?

「お金」を本質的に考えるうえで、避けては通れない投資の話。

「投資は未来の価値をつくるもの」「未来への挑戦の資金源」と話す竹谷氏は、会社として7〜8年間に200億円以上を「投資」に使っているという(他社への発注なども含む)。一方、藤野氏にとって投資とは一体何なのだろうか。

プロフィール

藤野英人

レオス・キャピタルワークス 代表取締役会長兼社長、CIO(最高投資責任者)
1966年富山県生まれ。国内・外資大手資産運用会社でファンドマネージャーを歴任後、2003年にレオス・キャピタルワークスを創業。日本の成長企業に投資する株式投資信託「ひふみ投信」シリーズを運用。投資啓発活動にも注力しており、東京理科大学MOT上席特任教授、早稲田大学政治経済学部非常勤講師、日本取引所グループ(JPX)アカデミーフェロー、一般社団法人投資信託協会理事を務める。主な著書に『投資家みたいに生きろ』(ダイヤモンド社)、『投資家が「お金」よりも大切にしていること』(星海社新書)、『さらば、GG資本主義――投資家が日本の未来を信じている理由』(光文社新書)、『「日経平均10万円」時代が来る!』(日経BP 日本経済新聞出版)など。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 8
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 9
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story