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ForeignPolicy.com 外交エディター24時
豪「宙づり議会」の深〜い意味
8月21日に実施されたオーストラリア総選挙は、どの政党も下院議席の過半数に達せず、70年ぶりに「中ぶらりん議会」が生まれることになった。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの政治学者パトリック・ダンリービーによると、この選挙結果は、より専門的な意味でも大きな節目となる。
史上初めて、世界でウェストミンスター・モデル(イギリス型議院内閣制)を採用している主な国がすべて「中ぶらりん議会」の状態になった。これらの国は旧大英帝国に属し、正統派の政治学によれば、単独政権の強い政府を持つとされている。
ダンリービーの言うウェストミンスター・モデルの主要国とは、オーストラリアのほか、インド(18の政党による連立政権)、イギリス(あり得ないと思われていた保守党と自由民主党の連立政権)、ニュージーランド(96年以来どの党も過半数の議席を持たない)、カナダ(少数与党の政権)を指す。
ウェストミンスター・モデルの選挙制度は伝統的に「比較多数得票主義」であり、各選挙区で最大の得票を得た候補者が議席を得る。このため大政党に有利で、多数与党の政権をつくりやすい。これに対して、例えばドイツでは連立政権を組むのが普通だ。
では、選挙制度が多数与党を推進するように設計されているのに、なぜ多数与党が生まれにくくなっているのか。私は、政党間のイデオロギーの違いが小さくなっていることと関係あるのではないかと思う。インドは明らかに例外だが、この疑問は考えてみる価値があるはずだ。
ただし性急な改革を行う前に、議院内閣制の国の国民が覚えておくべきことがある。(アメリカのように)大統領制で2大政党制の国でも、議事進行妨害や機能不全というのは十分起こりうるということだ。
──ジョシュア・キーティング
[米国東部時間2010年08月23日(月)18時49分更新]
Reprinted with permission from "FP Passport" 24/8/2010. © 2010 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.
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