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コラム
ForeignPolicy.com 外交エディター24時
大雪より迷惑、天気ニュースの大氾濫
Yuri Gripas-Reuters
今週のワシントンの一番の話題は、医療保険改革でも対テロ政策でもなく、サラ・ペイリンでさえない。雪だ。雪が降っている、ということだ。
そうだ、雪黙示録やユキマゲドン、雪破壊兵器が迫っている。そうなると、政府機関が閉鎖され、雪合戦をしていたツイーターたちがワシントンD.C.首都警察と武装対立する羽目に陥るぐらいではすまない。信じられないことに、新聞の記事が天気だらけになるのだ!
私は以前、うだるように暑いジャージーシティーの歩道で通行人に「この暑さをどう思いますか」と聞いて歩く仕事をさせられたことがある。その恨みもあるのかもしれないが、とにかく天気のニュースは昔から嫌いだ。天気のニュースはたいてい、パンダのニュースより役に立たないし、商品市況より退屈だから。
もちろん雪の怖さをバカにするつもりはない。ワシントンのように降雪に慣れていない街であれば尚更だ。だがそうだとしても、伝えるべきことがそれほどあるとは思えない。吹雪の予報にしても、読者が知るべきことは数えるほどだ。いつ降るのか、どれだけ積もるのか、どの学校が休校になるのか?
■ワシントン・ポストも水増し記事
それなのに、ワシントン・ポスト紙は長文の特集記事を掲載した。当局からの有益な情報(「われわれは火曜の夜と水曜の朝も天候を注視する必要がある」)が盛りだくさんで、そう、水増しもいいところだ。
さらに電子版の丸1ページを割いて詳細なデータやブログ中継、ユーザーからのコンテンツなどを紹介している。ついさっきもこんな見出しが出た。「雪が降り始めた」。私が窓の外を見て得た情報をご丁寧にも確認してくれたわけだ。
天気のニュースに膨大かつ無駄な時間を費やすのは、テレビやラジオも含め大半のメディアに共通する傾向だ。インターネットを見れば、誰でも3秒で得られる情報なのに。
雪が降れば何が起こるかは誰でも知っている。寒くて濡れて不便だが、最後はみんな何とかする。それとも私のほうが異常で、他の人は天気情報に飽くなき欲求を抱いているのだろうか。
普通私たちが天気について話すのは、礼儀正しく振る舞うためか、他に面白い話題がないときだ。天気ニュースを垂れ流すメディアにはどんな言い訳があるのだろう?
──ジョシュア・キーティング
[米国東部時間2010年02月09日(火)16時45分更新]
Reprinted with permission from FP Passport, 10/2/2010. © 2010 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.
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