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ForeignPolicy.com 外交エディター24時
モルディブの海中閣議は茶番
インド洋の島国モルディブは10月17日、地球温暖化による海面上昇の危機を世界に訴えるため、海中閣議を実施した。いわく、「今モルディブを救えなければ、明日の世界も救えない」。
このパフォーマンスに対し、米タフツ大学のダニエル・ドレスナー教授(国際政治学)は疑問を投げ掛ける。温暖化防止策と変化への適応策のどちらに資源を振り向けたほうが費用対効果があるかを「合理的に分析」することが、こうした小国の最優先事項なのだろうか、と。
それは確かに疑問だ。世界はもうとっくにこうした島国は消滅してもいいと結論付けている。2007年に私が出席した国連の気候変動ハイレベル会合では、地球温暖化をどのレベルまで許容するかが議題の1つだった。1度の上昇(すでに現実だ)? 1.5度、あるいは2度なのか。
国連総会で小国連合を成すモルディブなどの島国は、1.5度までとすべきだと主張していた(現在もその主張は変わらない)。しかし私が驚いたのは、彼らの行動がとっちらかってるということだ。気候変動が存亡の危機だというのなら、それを訴える記者会見の案内を開催の15分前になって出すのはなぜなのか。なぜ会見に国連大使ではなく、国家元首を送り込まなかったのか。私の記憶では、会見に出席した記者は私を含めて3人だけだった。
モルディブのモハメド・ナシード大統領は、前任の独裁者マウムーン・アブドゥル・ガユームよりはメディア戦略に長けているようだし、そうでなければ困る。モルディブの標高は最高地点でも海抜2.4メートル。平均では1.2~2.1メートルしかない。これは平均値で、実際には国土の大半がそれより低い。
国連の気候変動パネルが07年に発表した予測によれば、海面上昇は18~59センチに達する。高潮や大波が来たら、モルディブは大変な被害を被る(国連報告は海面上昇の予測が「上限」ではないと強調している)。このままでは21世紀末までにモルディブの人口約30万人の大半が移住先を探さなければならなくなる。
ナシード大統領にとっては、1.5度という数字を守ることも厳しい戦いになるだろう。今や科学的にも政治的にも、2度前後まで許容するという線で落ち着いている。その2度の目標に関してさえ、温暖化ガスを削減するための努力はほとんどなされていない。目標達成に向けた取り決めすらない。
気温が2度上昇したら、モルディブは消滅するのか。それは分からない。しかし世界の政治家たちがどちらでもいいと考えているのは明らかだ。
――ブレイク・ハウンシェル
[米国東部時間2009年10月17日(土)15時01分更新]
Reprinted with permission from "FP Passport", 17/10/2009. © 2009 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.
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