コラム

文科省が打ち出した「文系大学はもういらない」の衝撃

2015年06月25日(木)19時50分

 むしろ公的な教育投資を増やすべきなのは、学齢期前の幼児教育である。まだ脳の回路が固まる前に学習意欲を刺激することは、大学教育より効果的だ。これについてはOECD(経済協力開発機構)が「就学年齢を5歳に引き下げるべきだ」という提言をしており、イギリスなどで実施されている。

 しかし幼児教育は「遊び」とみられて軽視され、幼稚園と保育所の一本化さえできない。安倍政権が長期的な「成長戦略」に投資するとすれば、リターンがもっとも高いのは、文系大学への補助金を切って保育バウチャーで幼児教育に投資することだろう。

プロフィール

池田信夫

経済学者。1953年、京都府生まれ。東京大学経済学部を卒業後、NHK入社。93年に退職後、国際大学GLOCOM教授、経済産業研究所上席研究員などを経て、現在は株式会社アゴラ研究所所長。学術博士(慶應義塾大学)。著書に『アベノミクスの幻想』、『「空気」の構造』、共著に『なぜ世界は不況に陥ったのか』など。池田信夫blogのほか、言論サイトアゴラを主宰。

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