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【ウェブ対談:池田信夫×冷泉彰彦】慰安婦問題の本質とは何か<2>
冷泉 なんでそうなっちゃうんですかね?
池田 外国のメディアも、実は問題そのものを議論しているのではなく、朝日を叩いている安倍さんの周りの極端な右派の人たちを叩いている。誤解している日本人を、誤解している外国メディアが叩いているから、その誤解が定着してしまう。その悪循環がこの20年くらい繰り返されています。
冷泉 それが今、非常に極端になっていますよね。靖国の問題もそうですけど、安倍さんの言動、周囲の人たちの言動をはり合わせていくと、やっぱりサンフランシスコ講和条約を否定しようとしているように見えてしまいます。
池田 そうそう。ニューヨーク・タイムズなんて最初からそういう枠組みで見ようとしているから、その材料を提供するようなもので。安倍さんの他の政策は普通なのに、靖国に行ったことで彼の政策が全部そういう色で見られてしまって、すごく損していると思います。
冷泉 ウォールストリート・ジャーナルなんかも、古い価値観に親しむ安倍さんを、それでは規制緩和ができないのではとか、既得権益層に切り込めないのではとか、そんなイメージで見ていますね。
どう考えても安倍さんは得していないのですが、日本では右派のイメージを保っていた方が選挙で票が取れるということなのでしょうか。
池田 いや、それはないと思いますよ。安倍さんの場合は、特に不遇の時代に右派の人たちが支援してくれたことがあって、その人たちへの恩返しのために靖国に行ったと言う人が複数います。安倍さん自身は、良くも悪くも常識人。中道派で極端な右派ではない。
問題はむしろ、自民党内の周りにふわっとした右派的な人たちがいて、安倍さんがそういう人たちに乗っていることですね。彼らが大きな旗印にしているのが憲法改正です。憲法改正の方向性が、靖国と結びつけられると、ろくなことにはならない。戦前に戻るという印象を与えるでしょ。わざわざ憲法改正をやりにくくしている気がします。その点ではやっぱり、今の政権のイメージ戦略は間違っているでしょう。
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