コラム

どんな時にもユーモアを 朴大統領退陣デモに集まったユニークな人たち

2016年11月29日(火)16時09分

 こんな状況でも韓国人が忘れないのが諧謔、ヘハクである。諧謔は気のきいた冗談、ユーモア、風刺といった意味で、韓国ではウップダともいう。ウップダは「笑える+泣ける」の造語である。面白くて笑えるけど、その裏にある事情を知ると笑えない、という意味を持つ。大統領退陣集会ではウップダとしか言いようのないプラカードが数多く登場した。

「スンシルとの大事な縁。拘置所で育んでください」(朴大統領は対国民謝罪でチェ・スンシル氏のことを自分が大変だった時に助けてくれた大事な縁でつながっている知人だと説明した)

「支持率も実力だよ。親を恨みな」(朴大統領の支持率は11月4日時点で5%と歴代最低値を記録。チェ氏の娘は高校時代Facebookに「金も実力だよ、金がないなら親を恨め」と書き込んでいた)

「朴槿恵を漸漬した三神ハルミは反省せよ」(韓国で神話では赤ちゃんは三神婆さんという出産の神様が漸漬(チョムジ、授ける)するものと言われているので、朴槿恵大統領をこの世に登場させた三神婆さんに反省を求めている。この他に「勤務怠慢の死神は反省せよ」バージョンもある)

 100万人が集まった11月12日ソウル市光化門集会では、面白い旗も登場した。グループごとに旗を持って行進するが、労働組合、農民会といった旗に紛れてこんな旗もあった。「カブトムシ研究会」、「シマウマ研究会」、「民主猫総連帯」、「私立突然死博物館(自然史博物館のパロディ)」、「全国キャベツ連帯」、「全犬連(韓国の経団連にあたる全国経済人連合のパロディ)」、「ぴょんぴょん連合-怒ったウサギは何も怖くない」など、一体何者なんだろうと気になってしまう旗が多かった。

カブトムシ研究会から......

民主猫総連帯まで......

 Twitterなどで公表した各研究会の正体は、大学生や猫・うさぎを飼っている若い人達で、ネットで出会い意気投合した。「集会は特別に政治的な人が参加するのではない。誰でも自由に参加して自分の意見を表出するのが集会。こんな私たちも集会に参加しています、とアピールするため旗を作った」という。

プロフィール

趙 章恩

韓国ソウル生まれ。韓国梨花女子大学卒業。東京大学大学院学際情報学修士、東京大学大学院学際情報学府博士課程。KDDI総研特別研究員。NPOアジアITビジネス研究会顧問。韓日政府機関の委託調査(デジタルコンテンツ動向・電子政府動向・IT政策動向)、韓国IT視察コーディネートを行っている「J&J NETWORK」の共同代表。IT情報専門家として、数々の講演やセミナー、フォーラムに講師として参加。日刊紙や雑誌の寄稿も多く、「日経ビジネス」「日経パソコン(日経BP)」「日経デジタルヘルス」「週刊エコノミスト」「リセマム」「日本デジタルコンテンツ白書」等に連載中。韓国・アジアのIT事情を、日本と比較しながら分かりやすく提供している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米連邦地裁、収賄疑惑のNY市長の起訴棄却 政権の「

ビジネス

午前の日経平均は急反落、米相互関税を嫌気 一巡後は

ワールド

米夏時間の通年化巡り3年超ぶり公聴会、上院で開催へ

ビジネス

財新・中国サービス部門PMI、3月は51.9 3カ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台になった遺跡で、映画そっくりの「聖杯」が発掘される
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 6
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 7
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 8
    博士課程の奨学金受給者の約4割が留学生、問題は日…
  • 9
    アメリカで「最古の銃」発見...いったい誰が何のため…
  • 10
    トランプ政権でついに「内ゲバ」が始まる...シグナル…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 7
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 8
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 9
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story