- HOME
- コラム
- サイエンス・ナビゲーター
- 治療用ヘッドセットも実用化間近...「40ヘルツの…
治療用ヘッドセットも実用化間近...「40ヘルツの光や音」がアルツハイマー病の進行を遅らせる可能性と、そのメカニズム
研究チームが「40ヘルツ」に注目した理由は、記憶を作ったり、記憶を呼び起こしたりするときに現れる脳波が40ヘルツだからとのことです。しかも、以前から視覚や聴覚をある周波数で刺激すると、同じ周波数の脳波が発生することが知られていたため、外部刺激から脳波を誘発するアイディアをアルツハイマー病モデルマウスで実施することにしました。
今回の実験では、40ヘルツ周期の光や音の刺激でアミロイドβが減少することは先行研究からの予想どおりでしたが、新たに①脳脊髄液が増え、②光や音の刺激で視覚野や聴覚野近辺の血管の脈動が活発になることで、脳内のゴミであるアミロイドβの脳外への排出が促進されることが分かりました。
これまでは「40ヘルツ周期の光や音は、免疫細胞の機能を向上させることでアミロイドβの蓄積を抑制する」という説もありましたが、老廃物排出システムの活発化によるというメカニズムが解明しました。本研究では、リンパ液の流れを増大させる引き金として介在ニューロンから放出される血管作動性腸管ペプチドが関与している可能性も示唆しています。
光と音でアルツハイマー病を治療するヘッドセット
40ヘルツ周期の光や音の刺激を受けるだけでアミロイドβが減少するなら、今からアルツハイマー病予防として毎日一定時間浴びたい、と考える人は多いでしょう。
実は蔡博士らは16年に「Cognito Therapeutics」という医療スタートアップ企業を立ち上げています。光と音で非侵襲的にアルツハイマー病を治療する目的のヘッドセットを開発し、21年にはFDA(アメリカ食品医薬品局)から「ブレークスルーデバイス」の認定を受けています。
現在は、マウスでの良好な試験結果を受けてヒトでの臨床試験に進んでおり、22年に第2フェーズとして76名を対象とした6カ月の試験で優れた成果を上げました。今後、第3フェーズとして500人、1年規模の試験とともに、軽度のアルツハイマー病患者を対象とした試験も進める予定です。
果たして人類は、光や音でアルツハイマー病を克服できるでしょうか。今後の進捗に非常に期待が持てる研究ですね。
2025年1月21日号(1月15日発売)は「トランプ新政権ガイド」特集。1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響を読む
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
-
港区 営業アシスタント「海外ネットワークを持つ外資系総合商社」フレックス/残業月10h/年休120日
コーンズ・アンド・カンパニー・リミテッド
- 東京都
- 年収500万円~550万円
- 正社員
-
一般事務/メーカー 残業なし/外資系企業/20-30代活躍中
株式会社スタッフサービス ミラエール
- 東京都
- 月給20万6,000円~
- 正社員
-
貿易事務/流通関連 駅チカ/外資系企業/20-30代活躍中
株式会社スタッフサービス ミラエール
- 東京都
- 月給20万6,000円~
- 正社員
-
経験5年必須/プリセールス/年商250億円企業/リモート可/外資系企業
SAI DIGITAL株式会社
- 東京都
- 年収400万円~750万円
- 正社員