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脳の認知機能を改善する血小板因子が特定される...若い血の輸血、抗老化ホルモン、運動による若返り効果の全てに関与か
今回、博士らが血小板を含む若いマウスの血漿を老いたマウスに投与すると、脳の海馬の神経炎症が転写レベルおよび細胞レベルで減少し、海馬依存性の認知障害が改善したことを観察できました。さらに、PF4を老いたマウスに注射するだけで、若いマウスの血漿を用いたときとほぼ同じ認知機能の改善効果がありました。PF4 を投与された老いたマウスは、記憶や学習に関する課題で、投与されない老いたマウスよりも良い成績を収めました。
研究チームは、PF4には老化した免疫システムを改善して脳の炎症を抑える効果があり、それが脳の柔軟性を高めることになって認知機能を改善しているのではないかと推測しています。ヴィレダ博士は、「ヒトの70代に相当する生後22カ月のマウスにPF4を投与した結果、ヒトに換算して30代後半から40代前半に近い脳機能に戻った」と話しています。
血小板を活性化させ、PF4を放出させるクロトー
「Nature Aging」に掲載された論文は、「PF4が抗老化ホルモン『クロトー』によって誘導され、若いマウスでも老いたマウスでも認知力を強化した」とするもので、カリフォルニア大サンフランシスコ校のデーナ・デュバル博士が研究を主導しました。
クロトーは、老化を抑制して寿命を延長する作用のあるホルモンです。2005年に米テキサス大サウスウェスタンメディカルセンターの黒尾誠助教授(当時)らのグループが、東大医学部附属病院、大阪大、ハーバード大などと共同で、世界で初めて同定しました。
デュバル博士は15年に「クロトーをマウスに注射すると、マウスの寿命が延び、脳の加齢変性に対する耐性を高めた」とする論文を発表しました。今年7月には、「クロトーを年老いたアカゲザルに注射すると、脳の認知機能が2週間程度改善された」という研究成果を「Nature Aging」に発表しました。ただし、クロトー自体は血液脳関門を突破できず脳に入り込むことができないため、クロトーに誘発されたどの因子が認知機能を改善しているのかは謎のままでした。
今回、デュバル博士らは、クロトーの投与で認知機能が向上したマウスの血液を分析しました。すると、クロトーによって血小板が活性化され、PF4が放出されていることが分かりました。PF4は、血液脳関門を通れる小さいタンパク質です。
次にPF4そのものをマウスに投与する実験を行ったところ、PF4 は分子レベルにも影響し、新しい神経接続の形成を強化していました。さらに、老いたマウスだけでなく、若いマウスでも学習力と記憶力の向上が見られました。
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