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カーレーサーはレース中、きまって「ある場所」でまばたきしていることが明らかに
まばたきに関する研究は、1898年にドイツの生理学者S. ガルテンが執筆したものが最古の学術論文と考えられています。1928年には英エジンバラ大の生理学者であるポンダーとケネディが、私たちが無意識に行うまばたきの意義について、はじめて論文で指摘しました。
まばたきの種類は、現在は一般に①自発性瞬目、②反射性瞬目、③随意性瞬目に分けられます。①は私たちが普段、無意識に行うまばたきで、②は目にゴミが入ったり眩しかったりする時にとっさに行うもの、③はコミュニケーションとして片目をつむるウインクのように意識的に行うものです。
映像の「句読点」にまばたき
日本でまばたきの研究をリードする認知脳科学者の中野珠実・大阪大教授は、「まばたきの発生頻度は、精神状態によって大きく変化する」と指摘しています。ゲームやパソコンを使用しているときには発生頻度は抑制され、人前で話すときや難問を解いているときには増加するといいます。ただし、退屈しているときもまばたきの回数は増加するそうなので、心の状態をまばたきの回数から推定するのは難しいようです。
中野教授は12年、イギリスのコメディドラマ「Mr. Bean」を人々に見てもらい、鑑賞中のまばたきのタイミングが揃っているかどうかを実験した研究の成果を発表しました。それによると、まばたきのタイミングの差は0.6秒以内で、ほぼ同期していることが分かりました。さらに、まばたきは、主人公の動作の切れ目や繰り返しのシーンなど、映像の「句読点」に当たる場面で生じていることが分かりました。つまり、ヒトは無意識に出来事のまとまりを見つけて、その切れ目で選択的にまばたきを発生させていることが示唆されました。
実験ではさらにMRIで脳活動の変化を観測し、外界を見ている時とまばたきの時では、脳のさまざまな活動領域が大きく変化することを発見しました。外界を見ている時は視界のどこに注意を払うのかという機能の活動が増加し、まばたきの時は考え事をするときに活動が増える部位が活発になったのです。
ラップタイムが速い時ほど、まばたきのパターンが明確
今回、NTTの研究チームは、トップアスリートのパフォーマンスを分析することで、本人すら無自覚である脳機能を解明しようと考えました。レーシングチーム「DOCOMO TEAM DANDELION RACING」に属する全日本スーパーフォーミュラ選手権に参戦する3名のトップドライバーを対象にして、フォーミュラカーで実際にサーキットを走行してもらって心身のさまざまな状態を計測しました。
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