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5類引き下げ前におさらいする、新型コロナのこれまでとこれから
3.WHOは手のひらを返した? ワクチン接種の指針と副反応疑い
WHOは3月28日に世界に向けたワクチンの接種指針を改定して「健康な成人や子どもには定期的な追加接種を『推奨しない』」としました。ネットでは「WHOが反ワクチンに転じた」「3回目を接種するんじゃなかった」などの極端な意見も交わされていますが、あくまで先進国以外の事情も踏まえて新型コロナの現状と公衆衛生、費用対効果から出された指針なので、ワクチンが危険とか無意味というメッセージは含んでいません。
日本では、コロナワクチンの副反応や後遺症についての取りまとめや報道が遅れたこともあり、ワクチンへの不信感が根強くあります。
5月1日に公表された日本のワクチン接種状況は、総接種回数が3億8367万8371 回です。Our World in Dataの最新の集計では、日本は少なくとも1回以上ワクチン接種した人の割合は84.47%で世界6位、人口100人あたりのワクチン接種回数は309.53回で世界1位となっています。
4月28日の厚生科学審議会(予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会)では、副反応疑い報告制度において23年3月12日までにワクチン接種後の死亡例として報告されたものが公表されました。12歳以上では、ファイザー社1829件(100万回接種あたり6.2件)、モデルナ社224件(同2.7件)、武田社1件(同3.2件)でした。小児(5~11歳)は3件(同0.8件)、乳幼児(6か月~4歳)は0件でした。ただし、いずれも現時点ではワクチンとの因果関係があるとは結論づけられませんでした。
コロナ後遺症に関しては、国立国際医療研究センターが20年2月から21年11月までに新型コロナ患者として受診した20代から70代の502人に対して、その後の症状を聞き取って分析したところ、感染から1年半後の段階でも4人に1人が後遺症とみられる症状を訴えたという結果が出ました。子どもに関しては、日本小児科学会の研究チームが20年2月から23年4月11日までに学会のデータベースに寄せられた0~15歳を中心とした20歳未満の感染者4606人の情報を分析し、感染者のうち発症から1カ月以上たっても続く後遺症がある割合は3.9%だったと発表しています。
WHOも日本の厚労省も、新型コロナワクチンはどの年代においても「有効で安全」との見解を示しています。もっとも、流行初期は集団免疫を付けるために国策的なワクチン接種計画に協力する姿勢も求められましたが、本来、ワクチンは「感染して重症化するリスクよりは、ワクチンの副反応のリスクを取ったほうがよい」と考える人が打つものです。今後はますます、個人がリスクとベネフィット、社会状況を熟慮して、ワクチン接種をするかどうかを判断しなければならなくなるでしょう。第5類に移行しても、安心しすぎずに新型コロナの感染状況を見守り続けたいですね。
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