トキソプラズマに感染すると、ネズミはネコへの嫌悪感や警戒心が薄れて、ネコに捕食されやすくなることが知られています。さらに感染したネズミは、異性から選ばれやすくなると言います。

ヒトが感染すると、テストステロンやドーパミンなどのホルモンの分泌量が増加して自信にあふれた態度をとるようになり、異性から魅力的と評価されることが多いという先行研究もあります。研究チームは、今回のオオカミのケースでも、性格や行動に同様の変化が起きた可能性があると考察しています。

胎児の時は忌避すべきトキソプラズマの感染が、成人では異性にプラスの評価を得るきっかけになり得るというのは奇妙ですが、寄生虫が個体を増やして繁栄するための戦略と考えると納得できます。家庭犬はトキソプラズマに感染しても無症状の場合が多いですが、免疫力が落ちると、下痢、嘔吐などの消化器症状や、呼吸困難、痙攣などの神経症状を示すこともあるので、散歩中のネコの排泄物には注意が必要です。

来年もヒトの大切なパートナーであるイヌの研究が進み、「ヒトとイヌの関係」が双方に幸せな方向に発展するといいですね。

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