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ヒトへの依存度が大きい犬種は? 嗅覚で視覚を補っている? 2022年に話題となったイヌにまつわる研究
イヌの嗅覚は、ヒトの数千から1億倍と言われている(写真はイメージです) Capuski-iStock
<進化の進んだ犬種グループのほうがヒトへの依存度が大きいことが明らかに。他にも、今年話題となったイヌとイヌの祖先にまつわる研究を紹介する>
イヌやネコに代表される伴侶動物の存在は、「可愛がるペット」の域を越えて、「大切な家族の一員」という考え方が一般的になりました。2020年以降は、コロナ禍によるステイホームやリモートワークの普及もあって、世話ができる環境になったり「おうち時間」の充実を考えたりして、小動物を新たに家族として迎える人も増えています。
一般社団法人ペットフード協会の「2021年(令和3年)全国犬猫飼育実態調査」によると、20、21年は、1年で約40万匹のイヌと、約50万匹のネコが新たに飼育されたと言います。程なく発表される22年調査の結果でも、同水準が予想されます。
近年は科学の世界でも、人と伴侶動物との関係の歴史を改めて考えたり、伴侶動物の行動の理由を解明したりするための研究が盛んに進められています。今回は、22年に話題になったイヌとイヌの祖先に関する研究を振り返ってみましょう。
ストレスホルモンの遺伝子変異によってヒトに依存するように?
麻布大獣医学部動物応用科学科の外池亜紀子博士、永澤美保准教授らの研究チームは、イヌは進化の過程でストレスホルモンに関わる遺伝子が変化して、ヒトとのコミュニケーションを発達させ、イヌの家畜化を促進させたことを示唆しました。研究成果は、「サイエンティフィック・リポーツ」オンライン版に掲載されました。
研究チームは、一般家庭で飼育されている624頭のイヌに対して、社会的認知能力を調べる2つの課題を与えました。
「指差し選択課題」は、実験者の合図を受けて餌を隠した容器を探させる実験です。ヒトの身振りやコミュニケーションに対するイヌの理解度を測ることができます。「解決不可能課題」は、自分では取り出せない餌に対する行動を観察します。イヌが困ってヒトに助けを求めるような素振り(依存度)をどれくらいの頻度でするかを測定します。
イヌの祖先であるオオカミと遺伝的に近いとされる犬種(柴犬、秋田犬、シベリアンハスキーなどの「古代犬種」)と、遠い犬種(トイプードル、ボーダーコリー、ミニチュアダックスフンドなどの「欧米犬種」)のグループに分けて結果を比べると、指差し選択課題ではどちらのグループも理解度は変わりませんでした。けれど、解決不可能課題ではオオカミから遺伝的に離れている、つまり進化の進んだ犬種グループのほうが、ヒトを最初に見るまでの時間が短く、回数も多く、ヒトへの依存度が大きいことが示されました。
2つの課題の違いは、指差し選択課題では「ヒトが一方的に与える指示に対する受動的な理解力」を見ているのに対して、解決不可能課題では「問題解決とヒトとを結びつけて、イヌがヒトに能動的に助けを求める力」を検査しているところです。
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