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シジミ汁の白く濁る理由がついに解明された!
シジミはアサリと並んで日本人にとって馴染み深い貝にもかかわらず、古くから信じられてきた効能は科学的に確証を得られていない(写真はイメージです) Shinji Ichikawa-iStock
<身近な不思議で、実は科学的に未解明というものは少なくない。島根大の研究チームは今回、シジミをお湯で茹でるときに白濁する原因を突き止めた>
毎年10月はノーベル賞の発表があって、世間の科学への関心が高まる時期です。受賞ニュースで最先端の人類の叡智が詰まったテーマを知って、心躍らせた人も多いでしょう。
いっぽう、21世紀になっても、身近な「なぜ?」が意外にも科学的には解き明かされていない場合があります。たとえ「ノーベル賞級」の研究でなくても、生活で誰もが体験したことのある事象だったり、地域と結びついていたりすれば、長く語り継がれる成果となります。
島根大学生物資源科学部生命科学科の研究チームは、貝類でスープを作ると白濁する原因を発見しました。成果は、世界最大のオープンアクセス学術誌である「Scientific Reports」に掲載されました。チームには秋廣高志助教、石田秀樹准教授らのほかに、同大4年生(当時)の安井凌さんも参加していました。実験には、日本一の漁獲量を誇る島根県宍道湖産のシジミも使われました。
シジミについてこれまでに知られていたことと島根大の成果を概観し、「白濁」についても考えてみましょう。
シジミの効能は江戸時代の医書にも
シジミはアサリと並び、日本人に最も馴染み深い貝です。食用の歴史は古く、縄文時代に生活ゴミを捨てた「貝塚」では、シジミの貝殻も多く見つかっています。現存の日本在来種は、日本全国の汽水域にいるヤマトシジミ、全国の淡水域にいるマシジミ、琵琶湖固有種のセタシジミがいます。
シジミの名の由来は、①貝殻の表面に横皺がたくさんあって縮んだように見えるから「チジミ(縮む)」、②煮ると身が縮むから「チジミ(縮む)」、③群れて生活しているから「スシメ(州重群)」、④身が小さいから「ササミ(少々身)」など、諸説あります。蝶には「シジミチョウ」がいますが、貝の名前が先です。シジミチョウは、羽根の形や大きさがシジミ貝に似ているために名付けられました。
江戸時代には、行商人が売る貝の中でも安価だったので、みそ汁の具や佃煮として庶民に親しまれました。また、現在でも「肝臓に効く」「二日酔いに良い」などとサプリメントなどにも使われているシジミですが、江戸時代に書かれた『食品国歌』(大津賀仲安著、1787年)には、「シジミよく黄疸を治し酔を解す。消渇(しょうかち)、水腫(すいしゅ)、盗汗(とうかん)によし」とあり、当時から黄疸や二日酔いに効能があると考えられていました。
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