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「遊戯王」作者の事故死に見る、マリンレジャーに潜む危険
かつては人食いザメの被害や目撃は沖縄周辺に限定されていましたが、近年は茨城、千葉、神奈川などでも見られるようになりました。沖縄県水産海洋技術センターによると、サメは一度噛んで食べ物かどうか確認した後に、いったん離れるそうです。周囲に人がいれば、その間に救助を求めることもできます。
ショップなどを利用してバディを組んで潜るスクーバダイビングと異なり、シュノーケリングは1人でも気軽に行えます。今回はサメの攻撃は直接の死因ではありませんでしたが、危険な生物に襲われた時の救助という点でも、単独でのマリンレジャーは控えたほうがよいでしょう。
クラゲに刺されたときの3ステップ
日本近海にはサメ以外にも危険な生物がいます。猛毒を持ち「電気クラゲ」の異名を持つカツオノエボシ、フグ毒を持ち死亡事故もあるヒョウモンダコ、尾に毒針を持ち浅瀬の砂泥に隠れているアカエイなどです。
神奈川県では、6月下旬から県内の海岸にカツオノエボシが数多く漂着し、被害が相次いでいます。見た目は水色の風船かプラスチック片のようで、子供が「何だろう」と興味を持って近づくおそれがあることから、かながわ海岸美化財団(茅ケ崎市汐見台)などは「海岸で見つけても絶対に触らないで」と注意を呼び掛けています。
カツオノエボシは浮き袋が約10センチ、触手は10~30メートルにも及ぶクラゲです。触手には毒針があり、外部からの刺激で針を発射する仕組みになっています。刺されると電気ショックのような激痛が走り、腫れたり発熱したりします。複数回刺されると、急激な血圧低下で意識を失う「アナフィラキシーショック」を起こして死に至ることもあります。死後も数日間は毒針を発射することがあり、触れるのは非常に危険です。
海開き後、最初の週末となる2日は、鎌倉市の海水浴場に約2500人が訪れました。当日、材木座と由比ガ浜の両海水浴場でクラゲに刺されたという報告は計68件あり、救急要請は9件10人に上りました。辻堂海岸(藤沢市)では乳幼児2人を含む3人を救急搬送。茅ケ崎市でも9人がクラゲに刺されたと訴え、1人が救急搬送されました。
近づかないことが何よりの対策ですが、刺された場合は①触手や刺胞が残っていたら海水か水をかけ、患部自体も静かに洗浄する、②ライフセーバーがいる海岸では状況や症状を相談する、③症状が重いと判断されたら躊躇せずに救急車を呼ぶ、と藤沢市消防局は対策を語ります。
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