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「スナドリネコ」と「スナネコ」はどう違う? 展示施設で会える希少なネコたちの生態
いっぽう、那須どうぶつ王国と姉妹施設の神戸どうぶつ王国では先月、「砂漠の天使」と呼ばれるスナネコの赤ちゃんが生まれました。那須では2日に3匹、神戸では19日に4匹生まれ、いずれも順調に育てば3月下旬頃に一般公開されるといいます。
スナネコは英名sand catで、漢字では「砂猫」と書きます。文字通り、アラブやエジプト地域の砂漠環境で育ち、オオスナネズミなどのげっ歯類などを捕食します。体長は40-55cm、体重は2-3.5kgで、飼い猫でいえば純血の小型種で世界最小と言われるシンガプーラと同じくらいかやや小さいサイズです。
生息地域が人里から離れているため、絶滅のリスクは低い(IUCNのレッドリスクで「低懸念(LC)」の評価)と考えられていますが、それでも近年は内戦や人為的に移入されたイヌに捕食されるなどの影響が懸念されています。
スナネコはワシントン条約附属書IIに掲載されている動物なので、輸出国政府の発行する輸出許可書があれば商業目的の取引は可能になっています。つまり、野生動物でありながら、ペットとして取引される可能性もあるということです。実際に、日本では大規模なペットフェアなどで一般向けに売られることもあります。
けれど、砂漠環境で育つスナネコは高温多湿の日本では飼育が難しく、しかも可愛らしい見かけに反して気性が荒いためペットには向いていません。世界最大規模の自然環境保護団体であるWWF(世界自然保護基金)の日本事務局も「スナネコをペットにしないで」と呼びかけています。
一般公開施設のないイリオモテヤマネコ
希少なネコといえば、日本に生息する二種類のヤマネコ――イリオモテヤマネコとツシマヤマネコ――も混同されがちです。どちらもベンガルヤマネコ系統で、ベンガルヤマネコの地域亜種と考えられています。
イリオモテヤマネコは、1965年に沖縄県西表島で発見されました。20世紀になってから中型以上の哺乳類が見つかることは稀で、当初は新種と発表されたこともあって大フィーバーが起こりました。後に遺伝子解析技術が進んで、アジアに広く生育するベンガルヤマネコの亜種と分類されるようになりましたが、環境省は西表島の固有種という立場を取っています。
体長は50-60cm、体重は3-4kgで中型ネコのサイズを持ち、ネズミや小型鳥類、カエル、昆虫などを捕食しています。
1977年に国の特別天然記念物に、1994年には種の保存法に基づき国内希少野生動植物種に指定されました。生育頭数は約100匹とされており、IUCNレッドリストの日本バージョンと言える「環境省レッドリスト」では、作成当初の1990年代には絶滅危惧IB類(IUCN分類の「危機(EN)」に当たる)でした。その後、2007年に見直されて、絶滅の恐れが最も高いIA類(IUCN分類の「深刻な危機(CR)」に当たる)に分類されるようになりました。
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