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「スナドリネコ」と「スナネコ」はどう違う? 展示施設で会える希少なネコたちの生態
生息地の開拓や環境汚染によって個体数が減少しているスナドリネコ(写真はイメージです) Andyworks-iStock
<先月26日、鳥羽水族館でスナドリネコの赤ちゃんが生まれた。そもそもなぜネコが水族館にいるのか? 名前の似ているスナネコとの違いは? 他にも希少性が高く、日本に縁のあるネコの生態を紹介する>
動物園などで見られるネコ科の動物といえば、ライオンやトラなどの大型猛獣が馴染み深いですが、珍しい小型ネコが飼育されている施設もあります。
先月から今月初めにかけて、国内の動物展示施設では相次いで希少なネコの赤ちゃんが生まれました。伴侶動物のイエネコに大きさや見た目は似ていても、特別な場所でしか見られないネコたちを紹介します。
現在、ネコ科の動物は分子系統解析(アミノ酸やDNAの配列を調べて、共通の祖先から種の分岐や分かれた順番を調べる方法)を使って、2亜科(ヒョウ亜科、ネコ亜科)、8系統(ヒョウ、ピューマ、カラカル、ボルネオヤマネコ、オセロット、リンクス、ベンガルヤマネコ、イエネコの各系統)に分けられています。
今回、国内の展示施設で赤ちゃんが生まれて話題となったのは、スナドリネコとスナネコです。和名だと名前が似ていますが、スナドリネコはベンガルヤマネコ系統(一部、イエネコ系統という説もある)、スナネコはイエネコ系統で、生態や分布も全く違います。
なぜネコが水族館に?
先月26日に国内での繁殖成功2例目となるスナドリネコが生まれたのは、鳥羽水族館(三重県鳥羽市)です。ともに8歳の両親、メスの「パール」とオスの「サニー」のあいだに3匹の赤ちゃんが生まれましたが、1匹は間もなく死亡。同水族館は今月4日、元気な2匹のオスの赤ちゃんに対して、授乳しない母親に代わり飼育員が人工哺育をしていると発表しました。
ここで、まず疑問が湧くのは、「なぜ水族館にネコがいるのか」でしょう。
スナドリネコは、体長は57-86cm、体重は5.5-8.0kgで、飼い猫でいえば大型種と呼ばれるメインクーンほどのサイズのネコです。実はこのネコの英名はfishing catで、漢字では「漁(すなど)り猫」と書きます。「漁(りょう)をする猫」が語源です。
飼い猫のフードにはマグロ缶があるため、ネコは魚好きな印象があるかもしれませんが、本来、ネコ科の動物は肉食です。スナドリネコは、野生のネコとしては非常にレアな魚食動物です。泳ぎが上手で、水かきのついた前足を使って、巧みにカエルやザリガニ、魚を捕まえて食べます。この生態を知れば、水族館で展示飼育されるのも納得がいくでしょう。
次に、展示施設で一般公開されているならば、少なくとも日本では一般に見られない動物だということです。どれくらい希少なのでしょうか。
スナドリネコは、インドネシアの島々など南~東南アジア地域のマングローブや河川・沼沢地に生息します。近年、生息地近辺の開拓や環境汚染によって個体数が減少しており、IUCN(国際自然保護連合)のレッドリストでは「危急の絶滅危惧種(VU)」(中程度の絶滅危機)に挙げられています。
現在、日本では鳥羽水族館、東山動植物園(名古屋市)、神戸どうぶつ王国(神戸市)の3カ所でしか飼育されておらず、繁殖の成功は2009年の天王寺動物園(大阪市)以来となりました。
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