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羽生結弦選手が卒論で語るフィギュア採点の未来
研究内容で羽生選手の着眼点の素晴らしいところは、転倒、回転不足などが比較的わかりやすい着氷時ではなく、ジャンプの踏み切りや飛び上がる前の回転という審判員によって評価がばらつきやすい離氷時の評価にモーションキャプチャを使って、「ルール違反を可視化・数値化できないか」と考察しているところです。
この装置を付けてデータを解析すると、足底で体重のかかっている部分が判定できます。羽生選手はこれを採点に具体的に使う方法を論じています。「ジャンプを跳ぶ前に氷上で回転数を稼ごうとする『稚拙なジャンプ』は、足底がついている時間で判定できる」「ジャンプの種類によってルールで厳密に決められている体重をかけるべきエッジの内側・外側が、親指側と小指側のどちらに重心があるかで見分けられる」などです。
「羽生流ジャンプ術」が伝授される日
ところで、論文に現れる「稚拙なジャンプ」「稚拙な踏み切り」という表現を「羽生選手が卒論を通して他人のインチキなジャンプに対して怒っている」と解釈して、心配する声や揶揄する報道があります。
けれど、これらの言葉は国際スケート連盟のルールブックに掲載された「poor take-off」の日本語訳として、日本のルールブックなどで普通に使われている言葉です。羽生選手は「poor」の定義に当てはまるジャンプや踏み切りに対して、研究者として「正確なスケート用語」を使って論文を書いているだけなのです。
ジャンプのデータを取る前に、30メートル×60メートルのリンクで無線が途切れないかなど不安要素を複数挙げ、個々に不安を解消する実験を考案して一つずつクリアし、データの信頼性を科学的に証明した羽生選手。研究者としての適性も高いと言えます。
今回の論文ではあまり取り上げられなかった、羽生選手がジャンプをするときの腕や足の振り上げのタイミングなどのデータも取得しているので、将来、コーチになり「羽生流ジャンプ術」を伝授する時にも使えそうです。
科学研究としてこの先の議論を進めるには、羽生選手自身が論文内で指摘しているように多数の選手のデータが必要になります。大がかりなプロジェクトになりますが、フィギュアスケート競技とスポーツ科学の発展のために、競技生活が落ち着いた後に、ぜひ研究を主導してもらいたいです。すでにフィギュアスケート界のレジェンドとなっている羽生選手ならば、きっと実現が可能でしょう。
※編集部注:羽生選手の大学卒業時期の記載に誤りがありましたので、修正致しました。(2021年11月9日18時31分)
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