シリコンバレーエンジニア・酒井潤のキャリア思考法
「あえて」シリコンバレーで働く理由
シリコンバレーは住みにくい街
「シリコンバレー」と聞くと、キラキラした街を想像されるかもしれません。
確かに、AppleやGoogle、Facebook(GAFAと呼ばれていますね)といった大企業が、広々とした土地にカッコ良いオフィスを構えているのは事実です。遊びごごろ溢れるオフィスデザインが注目されることも多々あります。
しかし、実際住んでみると、それほどいい場所ではありません。
道は汚くてガタガタ。電柱どころか木柱ですし、街中にも電波の届かないところがある。(ITの最先端の街なのに!)
多くの人が車を使って移動するので、通勤・帰宅ラッシュ時は大渋滞に巻き込まれます。(私は電車通勤ですが)
しかも異常に物価が高く、家賃も高騰しています。先日、家探しをしたときは非常に苦労しましたし、これだけ家賃を払っても、こんなスペックか...と残念な結果に。
それでも、ここシリコンバレーを目指して世界中から人が集まってきますし、私自身、ここで働き続けることを選択しています。
その大きな理由は、「好きなことをやるための近道」だから。
私は、大学時代までプロサッカー選手を目指してサッカーの練習に明け暮れるサッカー少年でした。
しかし、膝の怪我でその夢を断念。
もちろん、サッカーの指導者やトレーナーとしてサッカーに関わり続ける選択肢もありました。しかし給与を調べてみると、当時、月に手取り10万〜20万円だったため、家族を持ったら養えないと思い断念しました。
逆に高収入の仕事に就ければ、空いた時間にサッカーコーチをボランティアですることができます。人生のどこかで、サッカーに関われればよいと考え、「高収入」の仕事に就くことを考えるようになったのです。
当時、私が思いつく「高収入」な仕事は医者や弁護士でした。しかし、教授の「これからはITの時代だ」の一言でエンジニアについて調べてみると、リーマンショック前でIBMのプログラマーの年収は5000万円ほどでした。必死に勉強して弁護士や医者を目指すよりも、エンジニアになった方が稼げると気づいたのです。勉強のスタートが遅れていても、挽回しやすさがあるというのも自分にとってはメリットでした。
こうしてエンジニアになりましたが、日本でエンジニアとして働いて、どれだけ優秀であってもせいぜい年収1000万円ほどしか稼げません。効率よく働き、サッカーの時間を作るには、世界トップの環境に身を置くことが必要だと考え、シリコンバレー転職を目指し始めました。
シリコンバレー勤務のリアル
実際、今はサッカーチームでサッカーを教えたり、サッカー動画をアップするYouTubeチャンネルを運営したりしています。お金と時間に余裕が持てたから、好きなサッカーに戻ってくることができました。
本業での収入は明確に記すことができませんが、複業も合わせると年収は数千万円です。
だからと言って長時間働いているわけではなく、8時から16時まで働いて、きっちり帰宅します。現在は、コロナの影響で完全にリモートワークしていますから、通勤時間もゼロです。
それでも、日本で夜遅くまで働いていた時と比べ、年収は9倍になりました。
これだけ効率よく稼げる場所だから、私は今ここにいるのです。世界で一番稼ぎやすいのがシリコンバレーのプログラマーだったので、それを目指しただけのこと。
だから、今からキャリアを構築していこうとしている人にとっては、「シリコンバレーエンジニア」は最適解ではないかもしれません。世界は、刻々と変わっていますからね。
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取材・構成 ▶︎ 中﨑史菜
著者プロフィール
- 酒井潤
サッカー大学日本代表に選抜されるも怪我でJリーガーの道を断念。大学卒業後、エンジニアに転向し2005年ハワイで起業。米国にて複数社勤務後、現在は全米給与ランキング4位の米国スプランクにてソフトウェアエンジニアとして勤務。副業としてUdemyやYoutubeでも稼いでおり、書籍「副業の思考法」(PHP研究所)ではそのノウハウや人生論を紹介している。
Twitter: @sakaijun
Youtube: シリエン戦隊JUN TV