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ヴィズマーラ恵子|イタリア

イタリアは砂糖税とプラスチック税の導入で大論争中

Shutterstock-Evan Lorne

「使い捨てプラスチック製品の消費に対する税」と「加糖ノンアルコール飲料の消費に対する税」。
イタリアでは、これらの新しい税が7月1日から施行されることになり、論争が起こっている。

イタリアは、糖入り飲料に対する税と使い捨てプラスチック製品の消費に対する税を導入するという考えは2019年に遡りる。
2つの新税導入に向けた策動は6度の延期をし、これまでのところ、その適用は常に見送られてきた。

これら2つの税による推定税収は約6億5,000万ユーロ(約1兆9000億円)以上の歳入が見込まれ、大きな財源となる可能性がある。
国庫にとって重要なものとなるだろう。

使い捨てプラスチックに対する税は、生産者、輸入業者、消費者が支払う固定額0.45ユーロ(約75円)の税で構成され、販売または購入するプラスチック製品1トンあたり450ユーロ(約7万5500円)が課せられる。

一方、砂糖税は、完成品の場合は 1 ヘクトリットルあたり10ユーロ(約1670円)、希釈後に使用するように設計された製品の場合は 1 キロあたり0.25ユーロ(約41円)の固定価格の税で構成される。

2019年末に前コンテ第2期政権によって導入されたが、発効することはなく、2020年から今日まで延期されてきた。
2024年度予算では完全廃止の仮説も浮上したほどだ。

当時、この提案は多数党を分裂させ、イタリア・ビバが反対、五つ星運動が賛成、民主党内で異なる意見があった。
反対に、主要な中道右派政党である同盟、フラテッリ・ディタリア、フォルツァ・イタリアはすべて反対し、この税は包装分野の企業に不利益をもたらすと主張していた。

それにも関わらず、2020年の予算法では、与党はプラスチックに対する新税の導入で合意に達したというのだ。

予算法に盛り込まれていたこの2つの税は、汚染を引き起こす使い捨てプラスチックの使用と不健康な砂糖入り飲料の消費を対象とするものであったが、適用が非常に複雑であることがすぐに判明した。


| 組織的な反対

影響を受ける2つの分野の企業間の反乱を引き起こした。
飲料の購買力を低下させるインフレと闘う企業や国民にとってさらなる困難は避けられない。

イタリア清涼飲料生産者協会アッドビーべのジャンジャコモ・ピエリーニ会長は、「我々は評議会の判決に本当に驚いているが、議論の余地のある科学的根拠に基づいており、何よりもイタリアの実際の消費から切り離された理由にはさらに驚いている。清涼飲料業界に重くのしかかり、サプライチェーン全体に連鎖的な影響を及ぼし、投資、イノベーション、経済成長を阻害する不確実性を緩和するために、決定的な導入中止を求める。」とコメントしている。

コカ・コーラ ヨーロッパ自体は、企業活動に対する49の脅威のマップに砂糖税を含めている。
飲料ロビーの優先目標の中には、砂糖税が提案されたらすぐに「反応」するよう勧告することがあるという。

イタリアでも、これを阻止するために法廷での反応があった。

清涼飲料業界を代表する団体であるイタリア清涼飲料生産者協会アッソビーべは、砂糖税の施行令に対して地方行政裁判所(タール)に控訴した。

2021年7月、裁判官らは、「この法律が特定の業界を差別するだけである」として、法律が実際に憲法上の正当性を有するかどうかを立証するために、この問題を憲法裁判所に付託することを決定していた。


| 清涼飲料業界には代替手段が皆無

砂糖税の導入が、もう目前に迫っている。

イタリアの公式では、この税は、砂糖を含む、またはフルーツジュース(無添加の砂糖を含む)を含む甘味料を含むすべての甘い飲み物に適用されることになるというが、アッソビーベのジャンジャコモ・ピエリーニ会長は、この法律はノンアルコール飲料1リットルに対する税負担は28%増加に相当すると訴えている。

2023年には10%以上の消費減少につながる景気後退効果(Nomismaの推計)を伴った。この砂糖税の導入は、製品価格の上昇によって消費者に打撃を与え、5,000人の雇用が危機に瀕し、4億ユーロ(約671億円)以上の原材料購入の減少につながり、4600万ユーロ以上(約77億円)の投資にブレーキをかけることになる。
特にイタリアで64社を占める中小企業にとっては28%の増税は最も大きな影響が及ぶとという。

イタリアにおける砂糖入り飲料の売り上げが絶え間なく減少しており、保健省と署名した議定書により近年消費に放出される砂糖が40%削減されたことを考慮すると、この税は存在する理由がないとピエリーニ会長は結論づけている。

清涼飲料水にかかる付加価値税は、EUの平均では16%であるが、それと比較してイタリアはすでに付加価値税22%というペナルティを課せられている。

たとえ砂糖が含まれていないソフトドリンクの場合にも適用され、この部門の他国と比べ、収益はあるはずだが、砂糖税の見積もりは不正確かつ非現実的である。

現時点では家族や企業にとって無益で有害な新税であると思える。

ヨーロッパの他の地域では、ベルギー、フランス、ポルトガルを含む10か国ですでに「砂糖税」は導入されている。

欧州連合において、この制度の導入を決定した国は、ベルギー、フィンランド、フランス、ハンガリー、アイルランド、ラトビア、ポルトガル、モナコ公国、ノルウェー、英国も承認している。

各国は異なる税方式を適用している。
水とアルコールを除くほぼすべての食品を対象とする国もあれば、砂糖入りの飲料に適用を限定している国もある。

この範囲には、フルーツ ジュースや野菜飲料のほか、いわゆるエナジー ドリンクやフレーバー ウォーターが含まれる場合があり、糖質の絶対量で計算する国もあるし、100mlあたりのグラム数で計算する国もある。

各国、清涼飲料水生産産業に対する政府の態度も異なる。
特定の製品を悪者扱いする傾向にある大胆なキャンペーンを進める国もあれば、新しいレシピに取り組む生産者に報酬を与えることを好む国もある。


| 近隣の欧州諸国は税収が増加

機能するには、税が消費者ではなく生産産業に影響を与えることを考慮する必要がある。

研究者らは、税の表現方法は固定的ではないと指摘した。

フランスやポルトガルなどの国は、時間をかけて改良しようと何度か修正を加えてきた。

その場合、入ってくる収益が特定の医療目的に使用されることを明確に伝える必要があると修正したのだ。

この関連の草案を作成したWHO事務局長のクレムリン・ウィクラマシンハ氏は、「砂糖入り飲料に税金を導入することで、各国は消費量を減らし、それに伴う過体重や肥満、糖尿病、その他の病気のリスクを減らすことができる」と述べた。

WHOが推奨する政治的行動は「寿命の延長と幸福の増進につながる」と心血管疾患予防の専門家は結論づけているが、53カ国以上を含む欧州圏と定義された地域では、過体重、肥満、糖尿病の発生率を減らすための税の有効性は証明されていない。

53か国のうち10か国は、一時的には砂糖入り飲料の消費量が減ったが、現在は砂糖税を導入する前の消費量水準に戻っている。

2018年に砂糖税が導入されたイギリスでは、重篤な虫歯の数が大幅に減少した。
砂糖の消費量を減らすために設計されたこの対策が効果があることのさらなる証拠が必要である。
ケンブリッジ大学医学研究評議会疫学ユニットの研究では、砂糖入り飲料への課税と虫歯の発生率との因果関係を明確に証明することはできていない。
虫歯の発生率の減少は、家族の社会経済的状況に関係なく均一であり、これは税金の抑止効果が裕福でない人々だけに影響を与えるものではないことを示しているため、重要な詳細である。
しかし、10歳以上の未成年者に対する砂糖税の導入後は、大きな違いは現れなかった。

イタリアは、政府が介入しない限り、この税は7月1日から施行される。
昨日まで、この論争で影響力を持っていたアントニオ・タジャーニ副首相とジャンカルロ・ジョルジェッティ経済大臣との間でスーパーボーナスをめぐる激しい対立があった。

スーパーボーナス「減税と建設ボーナスに関するMEF改正案第39号」を読むと、砂糖税が導入されていることがわかる。使い捨てプラスチック税の導入は延期されたようだ。
砂糖税は、新たな衝突が目前に迫っている。
政府がまた土壇場で介入する可能性もまだ残されている。

 

Profile

著者プロフィール
ヴィズマーラ恵子

イタリア・ミラノ郊外在住。イタリア抹茶ストアと日本茶舗を経営・代表取締役社長。和⇄伊語逐次通訳・翻訳・コーディネータガイド。福岡県出身。中学校美術科教師を経て2000年に渡伊。フィレンツェ留学後ミラノに移住。イタリアの最新ニュースを斜め読みし、在住邦人の目線で現地から生の声を綴る。
Twitter:@vismoglie

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