シリコンバレーエンジニア・酒井潤のキャリア思考法
海外転職に英語力は要らない
TOEFLで900点とっても、海外転職はできません。
これは、声を大にして言いたいことです。
日本の英会話教室に、多額のお金を支払っている人は多いことでしょう。TOEICやTOEFLのスコアを上げるために、試験対策をしている方も多くいると思います。しかし、1回40分やそこらのレッスンを数ヶ月やって、20万円...。同じ金額を払うなら、1回海外旅行をした方が長い時間英語に触れることができます。その事実に気づいて、私は通うのをやめました。
では、私の英語レベルはどれくらいだったかというと、社会人1年目でTOEIC330点、アメリカ移住直前でも510点。
転職直後に同僚に「Where are you?」と聞かれ、「I'm Jun.」と答えたほどです。出川哲郎さんの英語をイメージすると、当時の私の語学力がわかると思います(笑)
ビザの取得方法
そんな私がシリコンバレーに転職できた理由。それは、「ビザが取得できたから」の1点に尽きます。
アメリカのビザを取得できる外国人のうち、6割はエンジニアです。ほかはCPA(公認会計士)など、金融関連の特殊能力がなければ、ビザはまず下りないと考えてよいでしょう。苦労してMBAを取得し、英語がペラペラな日本人の方でもH-1Bビザ (就労ビザ) の取得は難しいケースがあるのです。
そこで私は、エンジニアとして就労ビザを取得する道と、投資家ビザを取得する道の2つに絞って対策しました。
投資家ビザを取得するため、まずはハワイで会社登記し、私自身は日本にいながらにして働きました。英語と経営の両方を勉強できるだけでなく、利益が挙がれば、自分自身に「投資家ビザ」を出すという形で、アメリカに滞在することができます。
加えて、当時日本で起業する場合には資本金として1000万円が必要だった一方、アメリカでの起業は1000ドル(約10万円)で可能だったのも大きな理由でした。たった10万円で、「米国企業の経営者」という肩書きを買えたのです。
「ハワイに本社がある」というと、いろんな経営者が興味をもってくれ、一緒にビジネスすることもありました。当時を振り返ってみて思うのは、「土台に乗ること」の大切さ。アイドルをめざす人は田舎の道を歩くより、原宿で歩くほうがスカウトされる可能性は高くなるとイメージすれば、理解しやすいかもしれません。
転職情報のチェック方法
投資家ビザの取得を目指しつつ、チェックしていたのはアメリカの求人情報です。
英語力がない私が、最初からアメリカ企業に勤めるというのは現実的ではありません。そこで、「日系企業と取引をしている在米日系企業への転職」を検討しました。
求人情報を毎日チェックしていると、アメリカで今求められているエンジニアスキルの傾向がわかってきました。当時はネットワーク系とウェブ系のエンジニア求人が多く出ていたので、自分の会社でもそういった仕事を多く受けるようにし、「アメリカで求められているスキルを日本にいながら磨く」ことで転職の準備を進めたのです。
ある時、狙っていた日系企業が求人を出しているのを見つけ、すぐに応募。スカイプ面談でも好感触でした。数日後、面接のために休みをとってシリコンバレーへ。帰路の空港で、すぐに内定の連絡をいただきました。
海外転職で日本語と英語が話せる人材を求めている場合は、ライバルは現地に住む日本人ということになります。そうすると、スピード感で負けてしまうと不利になるのです。
こうして、私はシリコンバレーへの転職を成功させました。
日系企業のため、会社で使うのは英語が3割ほど。最初のステップとしてはちょうどよい環境でした。
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取材・構成 ▶︎ 中﨑史菜
著者プロフィール
- 酒井潤
サッカー大学日本代表に選抜されるも怪我でJリーガーの道を断念。大学卒業後、エンジニアに転向し2005年ハワイで起業。米国にて複数社勤務後、現在は全米給与ランキング4位の米国スプランクにてソフトウェアエンジニアとして勤務。副業としてUdemyやYoutubeでも稼いでおり、書籍「副業の思考法」(PHP研究所)ではそのノウハウや人生論を紹介している。
Twitter: @sakaijun
Youtube: シリエン戦隊JUN TV