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悠久のメソポタミア、イラクでの日々から

牧野アンドレ|イラク

クルディスタンに来たら絶対に食べたいクルド飯5選!

©筆者撮影

すっかり秋模様になってきたイラク北部。

夏場のここ数ヵ月、気温が下がる夜にだけ盛り上がっていた街でしたが、ここ数日は日中でも徐々に活気を取り戻しています。

さて、今回は「絶対に食べたいクルド飯5選」と題して、ここイラク北部クルド自治区に3年間住んだ私がオススメするクルド飯を独断と偏見でご紹介します。

中にはクルド料理というよりイラク料理と呼んだ方がいいものもあるのですが、だいたいレストランで食べられる料理ですのでクルド自治区に来る機会がありましたらぜひ試してみてください。

   

1. クフタ

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©筆者撮影

最初にご紹介するのはクフタという料理です。

こちらは家庭料理に近くレストランではあまり見ることがありませんが、地元の人たちが大好きな料理です。

クフタというと、他の中東世界の料理で挽肉を煮込んだものなど様々な種類がありますが、ここクルディスタンのクフタはひきわり小麦を生地に牛肉やレーズン、玉ねぎなどを詰めたお焼きみたいな饅頭をトマトのスープで煮込んだ料理になっています。

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©筆者撮影

このクフタ、見た目以上に作るのが難しいらしく、生地が崩れないような厚さを保ちつつも、煮込み過ぎて固くなりすぎずに中までしっかり火を通すという細かい技術が求められます。なのでここクルド社会ではクフタを上手に作れるかで料理の腕が分かると言われているとかいないとか。

長い伝統があり、地元に深く根付いた料理です。

味は生地の厚みと中の具のあまじょっぱいハーモニーがたまらなく美味しく、お焼きやお団子などを食べる日本人の口にも合う料理だと思います。

私もいつも、調子に乗って食べ過ぎてしまいます。

   

2. シシケバブ

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©筆者撮影

次はお馴染みシシケバブです。こちらも中東世界全域で食べられており、日本でも聞いたことあるのではないでしょうか。

シシ(串)に刺さったマリネされた肉を焼いたもので、鶏肉、牛肉、ラム肉を野菜と一緒に焼きます。「中東の焼き鳥」とでも言えばいいでしょうか。

ただここクルド風でひと味違うのが、スパイスしたラム挽肉を使っているところです。これはイランのケバブのスタイルの影響があるのではと思います。

挽肉を使ったクフタケバブというものは他の地域でもあるのですが、ここクルディスタンでは「シシケバブ」と言えば間違いなくこのラム挽肉のケバブが出てきます。

クフタもそうですが、地域によって「ケバブ」にも色々あるのは面白いですね。中東世界の食文化の多様性を感じることができます。

エルビル市内でのオススメは、間違いなく中心部のカイサリ・バザールの中にあるケバブ・ヤーシンという老舗のケバブ屋さんです。

本当かウソか、エルビル市内で最も古いケバブ屋さんと言われています。ただし味は本物です。

バザール自体が入り組んでいて私も今でも迷ってしまうのですが、ちゃんと案内板なども出ているので矢印に沿って探してみてください。

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©筆者撮影

香ばしい匂いがしてきたら、このようにショーウィンドウで焼いているケバブ屋さんが見つかるかと思います。

   

3. マスグーフ

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©筆者撮影

次はマスグーフです。こちらはクルド飯というよりはイラク飯と言った方がいいかもしれません。

魚をほとんど食べないクルディスタンにおいて、マスグーフは唯一食べられていると言っていい川魚です。

日本でいうところの鯉にあたる魚ですが、マスグーフは臭みもなくこちらでは開きにして炭火焼にして食べるのが一般的です。

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©筆者撮影

イラクの特に川沿いの街にいくと、マスグーフレストランの外にはこのような巨大な炭火焼セットが置かれている場所を多く目にします。

味付けは店によって異なりますが、シンプルに塩を振ってレモンをかけるのがよくある味付け方法です。

ここクルドの人たちは酸っぱい味が好きなので、それにさらにスンマクというシソのような紫色のスパイスをかけて食べている人が多い印象です。

ただし個人的にオススメなのが、わさび醬油です。七味唐辛子も合うかと思います。やはり魚を前にしては日本的な食べ方になってしまいますね。

マスグーフは大きいもので数キロもある巨大な魚ですので、だいたい2-3人で一匹を食べます。みんなでマスグーフをつつきながら談笑する光景をレストランで見ることができます。

    

4. パーチャ

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©筆者撮影

シシケバブとともに、私が日本から知り合いが来ると絶対に紹介する料理がこちらのパーチャという料理です。

理由は簡単。カルチャーショック不可避の料理だからです。私も最初にこれを食べた衝撃は今も忘れられません。

ぱっと見何か分からないかと思うのですが、強いて言えば「羊の臓モツ煮込み」でしょうか。

内臓にはお米を詰め、それ以外の余った肉や筋、骨を全てぶち込んだ濃厚な煮込みです。

運が良ければ(とクルディスタン出身の同僚が言っていました)頭蓋骨に入った目玉も食べることができます。

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©筆者撮影

説明からご想像の通り、もの凄く重いです。笑

写真の量も大したことなさそうですが、スープを染み込ませたパンと一緒に食べるとすぐお腹いっぱいになってしまいます。

あまりにも重いので、一緒に玉ねぎや酢の物を食べたり、レモンをかけて味変してから食べ進めたりします。

驚くことに、日雇い労働者など体力を使う職業の人たちはこの料理は早朝に食べるそうです。間違いなく精が付くことでしょう。

あるクルディスタン在住の日本人の方が、「豚骨ラーメンを食べたくなったらパーチャを食べる」と言っていましたが、確かにこの濃厚スープを飲んだなら豚肉が手に入りにくいイラクでもしばらく豚骨ラーメン欲求を抑えてくれるような気がします。

パーチャ屋さんはエルビル市内中心部にいくつかありますが、個人的にオススメはイスカン通りの中心地側にパーチャ屋さんが集まっているエリアのお店です。店先に羊の頭蓋骨が山積みになっているので、すぐに分かるかと思います。

   

5. カンガル

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©筆者撮影

最後はカンガルという料理です。

正確にはカンガルという山菜を使った卵とじの料理なのですが、地元の人たちはこの料理自体にも植物の名前を使っています。

カンガルは春先にとれる山菜で、クルディスタン山間部の名物です。

植物自体には棘がたくさんついており、「料理よりも棘の処理の方が大変」とご馳走してくれた同僚が言っていました。

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©筆者撮影

調理法は塩コショウして卵でとじるというシンプルなものです。

カンガルの食感はキャベツに近いのですが、味は野菜ではあるのですがキノコに近いかなと思いました。

こちらはクルドの薄い生地のパンに包んで食べます。カンガルの歯ごたえと卵の柔らかさがいいバランスを生み出す料理です。

   

最後に

今回はここイラク北部クルド自治区の料理で個人的にオススメするものを5つご紹介しました。

中東世界で親しまれているものの派生やクルディスタン独自の料理など、色々あったかと思います。

今回ご紹介した料理以外にも、クルディスタンにはドルマやシュフタなど地元の食材を使った美味しい料理がまだまだあります。3年暮らしている私でも、名前を聞いただけでまだ食べられていない料理もあります。

ぜひいらした際には隅々まで試してみてください。

  

 

Profile

著者プロフィール
牧野アンドレ

イラク・アルビル在住のNGO職員。静岡県浜松市出身。日独ハーフ。2015年にドイツで「難民危機」を目撃し、人道支援を志す。これまでにギリシャ、ヨルダン、日本などで人道支援・難民支援の現場を経験。サセックス大学移民学修士。

個人ブログ:Co-魂ブログ

Twitter:@andre_makino

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