人情味の溢れる台湾で暮らす日々
デジタル先進国といわれる台湾でセルフレジがいまだ普及していない理由
■セルフレジの導入が進んでいた日本
先日、日本に一時帰国をしていた際、買い物へ行って驚いたのはセルフレジの導入がかなり進んでいることだった。
店員が商品のバーコードを読み、客が支払いと袋詰めを自分で行うセミセルフレジの経験は私もあった。
でも今回、スーパーマーケットで初体験したのはフルセルフレジ。商品のバーコードの読み取りから合計金額を支払うまでの全ての操作を客自身が行う。
フルセルフレジでは店員との接触はない。「袋は入りますか?」「お支払い方法は?」などと聞かれることもなく、金銭やレシートの受け渡しもない。「まだなの?」といった後ろに並ぶ客からのプレッシャーもない。自分のペースで買い物ができる自由度が高いし、慣れれば非常に効率が良い。
日本スーパーマーケット協会等が公表している『2022年スーパーマーケット年次統計』によると、フルセルフレジの導入は25.2%であるが、セミセルフレジはすでに75.1%まで進んでいるという。
有人レジに客が少ないのにも関わらず、セルフレジに行列ができていることがあった。日本人にはセルフレジが受け入れられているのだろう。
■店員との接触なしでの買い物
大手の衣料品チェーン店でもフルセルフレジを導入していた。こちらはスーパーマーケットよりももっと驚かされた。商品を1つずつスキャンする必要がない。商品をカゴごと指定のセンサーエリアに置くだけで、数秒で全ての商品の金額が読み取られる。
ハンガーに掛かっている商品はハンガーを指定の場所に返却し、袋詰めも全て客が行う。実のところ店に入り商品を選び、支払いをして店を出るまで、店員との接触が一切なかったのだ。まるで無人店舗で買い物をしている気分であった。
そんな日本のセルフレジについて、日本に旅行へ行った台湾人や在日台湾人のSNSで、「日本のセルフレジ、効率が良くてすごい」「日本人はセルフレジを上手く利用している」「セルフレジって楽しい」と称賛されているのをよく見かける。
■台湾のセルフレジ導入の状況
では台湾のセルフレジの実態はどうなっているのか。
台湾は、半導体、情報技術、電子機器などの分野で世界的に競争力のある企業を持ち、デジタル先進国に名を連ねている。記憶に新しいところで、コロナ禍において、デジタル技術を活用した感染リスク対策で世界から称賛を受けた。例えば、近隣店舗のマスクの在庫がわかる「マスクマップ」の開発、健康保険カードを活用したワクチン接種システム構築、スマートフォンのQRコードによる店舗への入出店記録などだ。
日常の行政、教育の現場でもデジタル化が積極的に推進されている。デジタルIDの導入、電子政府ポータルの整備。これらにより、市民は効率的かつ便利なサービスが利用可能になっている。
著者プロフィール
- 河浦美絵子
- 海外在住30年。現在、台湾在住21年目。ライフコーチ兼リサーチャー。現地コンサルティング企業勤務を経て起業。キャリアトランジション、自己啓発の専門知識を活かして、日系企業や個人向けにライフコーチングとリサーチサービスを提供している。趣味は旅とマラソンと食べ歩き。