大統領はどこまで「株安許容」するのか?...なお残る「トランプ・プット」期待

4月7日、トランプ米大統領は自らの関税政策がもたらしている大幅な株安をこの先どこまで容認するつもりだろうか――。ウオール街で同日撮影(2025年 ロイター/Brendan McDermid)
トランプ米大統領は自らの関税政策がもたらしている大幅な株安をこの先どこまで容認するつもりだろうか――。投資家はこの点に関する手掛かりを必死で探り当てようとしている。最終的にトランプ氏が株価救済に乗り出す「トランプ・プット」の望みも全く消え去ったわけではない。
トランプ・プットは1期目時代の株式市場にとってはずっと大きな支柱となってきた。トランプ氏はしばしば、株高を自身の政策が成果を発揮している証拠として挙げ、1期目を通じてS&P総合500種は68%上昇して何度か最高値を更新。株価についてトランプ氏がツイートした回数は150回余りに達した。
ところが今回、トランプ・プット期待は後退が続き、少なくとも投資家の意見は、トランプ氏が株価急落を容認する方向に大きく傾いているとの見方に集約されつつある。トランプ氏が大統領に復帰した1月20日以降で、S&P総合500種とナスダック総合の下落率はそれぞれ15%強と20%強になっている。
エンジェルズ・インベストメンツのマイケル・ローゼン最高投資責任者は「関税や通商政策の全体的な構想はトランプ氏の精神の一部を成すものである以上、放棄されるとは思えない」と語り、トランプ氏に政策転換を促す痛みのレベルはまだはるか彼方にありそうだと付け加えた。
こうした中で投資家の間では、トランプ氏が2日に「相互関税」の詳細を発表したことで、本当にトランプ・プットはなくなったのか、それとも貿易相手との各種取引と関税の巻き戻しを通じていずれまた出現するのか改めて問題提起されている。
アンリミテッド・ファンズのボブ・エリオット最高経営責任者(CEO)兼最高投資責任者の場合、政策転換に至るまでなお売り局面が長く続くシナリオを描く。「株価が20─30%下落しなければ政策転換につながらない。だからこれまでの値下がりは十分とは言えない」という。
一方ベル・エア・インベストメント・アドバイザーズのパートナー、ケビン・フィリップ氏は「(トランプ氏が)大幅な株安を容認するとは思わない。彼は支持率に目を向けるだろうし、株安容認は政策課題全体を危険にさらす」と語り、さまざまな取引を成立させるか、軌道修正の理由を考え出す以外、出口はないとみている。