「炊き出し」現場ルポ 集まったのはホームレス、生活保護受給者...

「炊き出し」開始の1時間前、すでに多くの人々が空き地に集まっていた
<炊き出し現場ではどのようなことが起きているのか、彼らは一体なぜ炊き出しに来るのか。在日中国人ジャーナリスト趙海成氏による連載ルポ第26話>
日本のホームレスがよく行く場所がある。それは「炊き出し」現場だ。
炊き出しは、さまざまな理由により食べ物を得るのが困難な人々に対して、調理した食べ物や食品、毛布などの生活用品を無償で提供する活動のこと。日本の炊き出しは、市民団体や非営利団体(NPO)、宗教団体などによって行われている。なかでも、キリスト教の教会が主催する炊き出しが多く、歴史も長い。
ホームレス問題を扱う連載を執筆している私は、いつか炊き出し現場に行ってみたいと思っていた。
2025年2月のある晴れた日、上野公園の裏にある空き地を訪れた。ネットの情報によると、そこでは昼の12時にキリスト教会が主催する炊き出しがあるそうだ。
私は早めに11時に着いたが、すでに多くの人々が集まっていた。ほとんどの人はマスクを着用し、リュックサックを背負っている。なかには三々五々、ひそひそと話をしている人もいるが、大半の人は1人でぼんやりしている様子だった。
彼らは公園を訪れた単なる観光客ではなく、貧困層の人々であることが一目でわかった。半数以上が中高年の男性だが、作業服を着てヘルメットを持っている若者も数人見かけた。近くの建設現場からやってきた日雇い労働者なのだろうか。無料の昼食を済ませた後に工事現場に戻らなければならないのだろう。